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990 共同出願契約/特許出願/新規性・進歩性 |
体系 |
ビジネス用語 |
用語 |
共同出願契約 |
意味 |
共同出願契約とは、特許を受ける権利の共有者が共同で特許出願することに関して約束する契約です。
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内容 |
@共同出願契約の意義
(a)共同出願契約とは、主として共同で発明が行われた結果として、特許を受ける権利が共有に係る場合に、その発明の特許出願は全ての共有者が共同しなければならないこと、並びに当該特許出願の取り扱いについて締結された契約です。
(b)特許法第38条には、特許を受ける権利が共有に係るときには共有者全員で特許出願をしなければならない、と定められています。
共有者の一人が単独で特許出願をし、新規性・進歩性が認められて特許になった場合には、当該特許権の帰属を巡って争いを生じ易いからです。
→特許を受ける権利の共有とは
従って、共同出願契約のうちで、“特許を受ける権利の共有者が共同で特許出願をする”ことに関しては、私人間で約束するまでもなく、当然のことのようにも思われます。
しかしながら、共同発明とは、同一企業内で机を並べて研究していた技術者が協力し合って成立するような場合だけではなく、様々なケースがあります。
事前に“当事者にこう言う場合には、共同発明であるから、共同で特許出願をしなければならない。”ということを意識して貰うためにも、予め契約書を交わしておく、意義があります。
A共同出願契約の内容
(a)共同発明の態様として、発明の着想(単なる抽象的課題を除く)を出した者とその課題を実現するための具体的構成を考案した者とで発明が成立する場合があります。
例えば技術指導契約では、一方の当事者(指導する側)が他方の当事者が技術の導入に際して困っていることに関して相談を受け、指導することが通常ですが、その“困っていること”を現象として分析し、不具合の原因を突き止め、この原因を解消すれば困っていることを解決出来る、と提案する場合があります。
発明をなす上で困難な行程が、困っていることの原因を見出すこと(課題への気づき)にあり、それを解決する具体的手段を考え出すことは比較的簡単であるという場合に、その課題の提案者は発明に実体的に関与していますから、特許出願をするのであれば、その提案者(或いは又はその者が特許を受ける権利の持分の承継人)を特許出願人の一人として手続しなければなりません。
→共同発明とは
(b)又、近年では大学の教授と企業とが共同で研究をすることが多くなっています。こうした場合には、通常、共同研究契約を締結することが望ましいのですが(→共同研究契約)、そうしたことをしなかったとします。
大学教授の助言により、企業が課題の解決への手がかりを得て、発明を完成し、企業単独で特許出願をして、後々問題になることがあります。
大学教授自身は、発明をしたことを認識がなくても、或いは特許出願をすることに熱心ではなくても、大学教授を雇用している大学にとっては、少なくとも職務発明の法定通常実施権を取得できる筈ですから、大学教授と企業との共同での特許出願として貰わなくてはならないからです。
(c)また共同開発の場面では、ある研究グループの研究成果と他の研究グループの研究成果とがコンタミネーション(混合)を生じて、共同での特許出願をしなければならなくなる場合があります。
→コンタミネーションとは
(d)こうした場合に、後日のトラブルを回避するために、予め共同出願契約をする意義があります。
(e)共同出願契約では、さらに特許を受ける権利の持分などに関する取り決めを行うという意義もあります。
→共同出願の取扱い(特許出願)
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