体系 |
特許出願の種類 |
用語 |
分割出願 |
意味 |
分割出願とは、2以上の発明を包含する特許出願(原出願)の一部を取り出して、原出願の出願日への遡及効を有する新たな特許出願とすることです。
|
内容 |
@出願分割は、もともと一つの特許出願に包含された開示内容を複数の権利として保護するために国際的に認められた制度です。いわゆるパリ条約4条Gでは、”
特許出願人は、
審査により複合的である場合(単一性がない場合)には、その特許出願を二以上の出願に分割することができる。…特許出願人は、自己の発意により、特許出願を分割することができる。”と定めています。
A「原出願の一部を取り出して」とは、原出願の特許請求の範囲に記載された複数の発明の一つを取り出すことだけではなく、明細書及び図面に記載された発明を取り出すことを含みます。
このため、最後の拒絶理由通知が出た後で、特許請求の範囲以外に記載された発明を権利化する手段として利用することができます。もともと分割出願は、出願の単一性違反の拒絶理由に対する救済策として導入された制度ですが、現在では最後の拒絶理由通知後の対応策としての意義が重要となっています。
例えば特定形状のボルト及びナットの組み合わせの発明と、当該特定形状のボルトの発明と、当該特定形状のナットの発明とが元の特許出願に包含されており、当初はボルト及びナットの組み合わせのみを特許請求の範囲に記載していたが、最後の拒絶理由通知後に、ボルトのみ、或いはナットのみを権利化することが必要となった場合に、特許出願の分割により対処するということが考えられます。
B分割出願は、一定の時又は期間に限って認められ(→分割出願の時期)、またその前提として、分割の時点で原出願が特許庁に係属している必要があります。
C他人の特許出願の出願経緯を監視する場合、分割出願情報を監視することが重要です。→特許調査
|
留意点 |
最近は、コスト削減の要請から、従来であれば別出願をするような複数の発明を一つの特許出願として出願するケースが増えています。そうした場合、明細書の「背景技術」や「発明の概要」の欄も出願を分割したときに対応できるように、各発明毎に記載する必要があります。
|