体系 |
権利内容 |
用語 |
先使用権 |
意味 |
先使用権とは、他人の特許出願の日前から、同一の発明を異なる知得ルートで知って発明の実施又は準備をしていた者がその実施又は準備する発明及び事業の目的の範囲で取得する法定通常実施権です。
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内容 |
@特許法は、発明の保護及び利用を図るため、特許出願により発明の内容を国に開示した者に対して、新規発明の公開の代償として独占権を付与します。しかし、特許出願の日前に実施の事業を通じて事実上発明を占有していた者が特許権の成立により事業を継続できなくなると、公平を失します。また事業設備が荒廃し、国家の損失となります。そこで先使用者の事業継続を可能とする先使用権を認めました。
→先使用権の趣旨
A「異なる知得のルートで」知った者とは、特許出願に係る発明の内容を知らないで発明をした者又はその者から発明を知得した者です。別のルートで知った後に、他人が同じ発明を創作したことを知っても構いません。
B「準備」とは、実施用の装置を発注したという如く客観的に認められるものをいいます。
C「発明及び事業の範囲内」については(→先使用権の範囲)を参酌して下さい。
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留意点 |
Bに関して、頒布したパンフレットに発明を記載した段階が「準備」と認められないとした判例があります(昭45(ワ)2463号「コンクリートブロック」事件)。∵一般に宣伝用パンフレットは事業内容をやや誇大に記載して宣伝していることが稀ではなく、等の理由です。
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