パテントに関する専門用語
  

 No: 076
体系 権利内容
用語

先使用権の範囲

意味  先使用権の範囲は、実施又は準備をしている発明及び事業の目的の範囲です。

内容 @先使用権の趣旨は、特許権者と先使用者との公平を図ること、及び、事業設備を保護することです。すなわち、先使用者もまた発明の先実施により産業の発達に貢献していますので、先願者である特許権者のみを保護し、特許出願前から続いてきた実施の事業が特許権の成立により継続できなくなることは公平の観念に反します。また事業設備が荒廃すると、産業の発達の妨げとなります。この趣旨より「実施及び準備をしている発明及び事業の範囲」で先使用権を認めています(→先使用権の趣旨)。

Aこの先使用権の範囲を、具体的に説明します。

(a)「実施」している範囲だけでなく、「準備」をしている範囲でも先使用権が認められます。旧法では前者に限定されていましたが、特許権者と先使用者との公平という見地から狭きに失するという理由で後者も追加されました。「準備」は客観的に認められ得るものでなければならず、単に頭の中で考えたというだけでは足りません。

(b)「発明」の範囲であり、実施形態の範囲ではありません。経済事情の変化に応じて、使用する原料を均等な材料へ変更したとか、精緻な設計を簡易な設計へ変更したという事情があっても、単なる設計変更の範囲であるのなら、先使用権が認められると考えられます。

(c)「事業の範囲内」より、例えば苛性ソーダの製造業を製鉄業に変更するのは不可です。

留意点
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