[判決言い渡し日] |
昭和55年2月29日 |
[発明の名称] |
シエルおよびホツトボツクス造型機 |
[主要論点] |
請求の範囲の記載を、特許出願中の審査での意見書・異議申立での答弁書での陳述に基づき包袋禁反言の原則により限定解釈することの是非 |
[判例の要点] |
特許出願に際して、一方では先行技術と対比して広範な表現によるクレームを請求しながら、他方では、特許出願に係る発明が所定の作用を発揮する如く述べて新規性を主張することは、包袋禁反言の原則から許されません。 |
[本件へのあてはめ] |
上金型押出装置の機構としては、他の要素により駆動される他駆動型と自ら動く自駆動型とが考えらるところ、特許出願人である原告は、一方では、上金型押出装置が他駆動型を含む広範な表現によるクレームを請求しながら、他方、特許出願の拒絶理由通知に対する意見書や異議申立に対する答弁書では、吹込管作動ピストンが上金型押出装置の押圧手段を兼ねる構成(他駆動型)であると主張しています。 また特許出願時の技術水準を参酌しても、特許異議決定書での特許庁の見解からも、吹込管作動ピストンが上金型押出装置の押圧を兼ねる点が特許を付与した根拠となったと考えるべきです。こうした状況で、特許後に自駆動型である被告製品が権利侵害であると主張することは許されません。 ・一般に特許権の請求の範囲は特許出願人の望むものとして通用させる必要はないし、 ・特許出願人が出願過程において意思見解を述べてことは何人もその記録(包袋)を見ることによって客観的に確知できるのに、権利行使の段階でその見解に反する主張をすることは第三者にとっては著しく信義に反する(file-wrapper estoppel/包袋禁反言) からです。 |
[先の関連判決] |
[後の関連判決] |
平成12年(ネ)第5355号(均等論の適用を禁反言で排除した例)・ |
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