[判決言い渡し日] |
平成29年3月21日 |
[発明の名称] |
摩擦熱変色性筆記具及びそれを用いた摩擦熱変色セット |
[主要論点] |
進歩性の判断における機能の参酌 |
[判例の要点] |
主引用例及び副引用例の発明の用途(或いは技術分野)が同じであっても、構成及び具体的な機能が異なることは、進歩性を否定する方向に働きます。 |
[本件へのあてはめ] |
本件発明は、筆記具の後部又はキャップ頂部に装着されたエラストマー又はプラスチック発泡体から選ばれる摩擦体で筆記面に擦り、その摩擦熱で可逆変色性マイクロカプセル顔料であるインクが消色するように構成した摩擦熱変色性筆記具であり、 審決は、引用発明1に引用発明2の摩擦体相当部分(摩擦具)を適用し、適用場所として引用例3などを参酌して筆記具の後部又はキャップの頂部を選択することは容易であるとしているところ、 引用発明1と引用発明2は、 いずれも色彩記憶保持型の可逆熱変色性微小カプセル顔料を使用してはいるが、 ・引用発明1は、可逆熱変色性インキ組成物を充填した筆記具それ自体により熱変色像の筆跡を紙などの対象に形成できるのに対し、 ・引用発明2は、筆記具である冷熱ペンと筆記面である熱変色層を含む支持体等から成る筆記材セットであり、通常の筆記具とは異なり、顔料を含んでいない冷熱ペンのみでは熱変色像の筆跡を形成できないから、筆跡を形成する対象も支持体上面の熱変色層に限られ、 両発明は、その構成及び筆跡の形成に関する機能において大きく異なるから、当業者において引用発明1に引用発明2を組み合わせることを発想するとは考え難いのです。 |
[先の関連判決] |
平成8年(行ケ)第262号(自動ブランケット洗浄装置) |
[後の関連判決] |
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