[判決言い渡し日] |
平成29年8月3日 |
[発明の名称] |
ワイパモータ |
[主要論点] |
@進歩性の判断において、引用発明の構成の一部を限定(又は変更)する設計変更をしようとする際に、有限数の同列的な選択肢が想定され、それら選択肢の一つを選択することにより、本発明の構成に到達することは当業者にとって容易か否か。 A‘引用例に対して“容易の容易”である事項は容易ではない。’という判断手法の是非及び射程範囲 |
[判例の要点] |
@進歩性の判断において、特許出願時の技術常識に照らして、有限数の同列的な選択肢のうちの一つを選択することに、他の選択肢と比較して動機付け(利点)が存在すれば、その発明の進歩性を否定する根拠となります。 A本発明と主引例との相違点に関して副引用例を適用して要件の変更(要件の付加・痴漢など)を行う際に変更箇所に関連する第2の設計変更する場合であっても、適切な論理付け(例えば上述の如く有限数の選択肢の一つであって他の選択肢に比べて有利なものを選択するなど)があれば、いわゆる“容易の容易”として排除されるべきではありません。 |
[本件へのあてはめ] |
@第1の方向に配置された2個の共通ブラシ、第1の方向から90度ずれた第2の方向に低速ブラシを、第1の方向と第2の方向に2個の低速ブラシをそれぞれ配置してなる4極6ブラシの主引例に、本来同位であるべき一対の整流子片を接続する接続線(均圧線)を適用するとともに、1個の高速ブラシ、1個の低速ブラシ、1個の共通ブラシを削除する場合に、削除するブラシの組み合わせは、2×2=4通りしかなく、これら選択肢のうちで、ブラシ厚を均等化させる組み合わせを選択することは当業者にとって容易です。 A均等線を使用してブラシ数を削減する技術が特許出願時に公知であるから、均圧線を使用して6個のブラシ数を半減させようとする場合に、回転軸に対する各ブラシの押圧力が不均衡になるという問題点が生じない最適の組み合わせを選択することは、“容易の容易”として排除されるべきではありません。 |
[先の関連判決] |
平成14年(行ケ)460号(エアーマッサージ機事件) |
[後の関連判決] |
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