[判決言い渡し日] |
平成12年8月31日 |
[発明の名称] |
フィルムカセット |
[主要論点] |
特許出願人が物の発明の課題を解決するための原理を物の形状を含む表現(半球面部を設けた係合部材)で記載した場合の均等論の解釈。 |
[判例の要点] |
@均等論第1要件に関して、“対象製品との相違が特許発明における本質的部分に係るものであるかどうかを判断するに当たっては、単に特許請求の範囲に記載された構成の一部を形式的に取り出すのではなく、特許発明を先行技術と対比して課題の解決手段における特徴的原理を確定した上で、対象製品の備える解決手段が特許発明における解決手段の原理と実質的に同一の原理に属するものか、それともこれとは異なる原理に属するものかという点から、判断すべき”です。 A特許出願人が物の形状の特性により特徴的原理を表現している場合には、これが発明の本質的部分となります。 |
[本件へのあてはめ] |
(a)本件特許発明は、フィルムカセットの着脱操作の容易化とカメラ及びフィルムカセットの構造の簡素化、小型化のために、カメラに着脱する際に、フィルム巻上げ軸を上下動させることなくフィルム巻上げ軸と直交する方向に押し込み、又は引き出すことが可能なフィルムカセットを提供することを目的とするものです。 (b)そしてカセット収納室の上面の縁部と当接する係合部材の上部に、弾性的に突没自在の半球面部を設けるという具体的な構成を採用することで、半球面という形状の特性により、カセット着脱時における係合部材のカセット本体筒体内への没入を実現しています。 (c)これによれば、半球面という形状を含めた係合部材の具体的構成は、本件特許発明特有の解決原理として、本件特許発明の本質的部分をなすべきです。 |
[先の関連判決] |
平3(ネ)1627号(断面U字形のボール案内溝の解釈) |
[後の関連判決] |
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