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●平成21年(ネ)第10006号(中間判決)


均等論第1要件/特許出願/中空ゴルフクラブヘッド

 [判決言い渡し日]
平成21年 6月29日
 [発明の名称]
中空ゴルフクラブヘッド
 [主要論点]
特許請求の範囲中の用語(縫合材)及び均等論の適用の是非

 [判例の要点]
@均等論の適用が問題となる事案であっても、特許出願人が特許請求の範囲に記載した用語の文言解釈には十分な注意を払うべきです。

 特に、特許請求の範囲に記載された用語(縫合)が通常の意味と異なる用い方をされているときには、第1要件(本質的部分)に関して、技術的な観点を入れて、当該用語を解釈し、特許請求の範囲中の要件が特許発明を特徴付けるほどに重要か否かを判断するべきです。

 [本件へのあてはめ]
@本発明は、金属製の外殻部材と繊維強化プラスチック製の外殻部材とを接合した中空構造のゴルフクラブヘッドであって、その接合部において、両外郭部材を接着するとともに、金属製外郭部材に貫通穴を設け、この貫通穴を介して繊維強化プラスチックス製の縫合材を金属製外郭部材のプラスチックス製外郭部材との境界面側及び反対側とに通して両外郭部材を接合した構成に関するところ、

A前記「縫合材」の用語は、「複数の対象物のすべてを貫き通すことによって結合させるために用いられる部材」という通常の意味から離れていることは明らかであり、

B金属製外殻部材とプラスチック製外殻部材との接合強度を高めるという本件発明の効果を奏するためには、金属製外郭部材の接着面側の少なくとも2カ所で接合(接着)することが必要であるから、

C縫合材は「金属製外殻部材の複数の(二つ以上の)貫通穴を通し、かつ、少なくとも2か所で繊維強化プラスチック製外殻部材と接合(接着)する部材」と解するのが相当であり、

D他方、被告製品で縫合材に対応する部分(帯片)は、金属製外殻部材に設けた一つの貫通穴に1回だけ通すものですが、

E「金属製外殻部材とプラスチック製外殻部材との接合強度を高める」という本発明の課題から見ると、

 本件発明においては、“貫通穴を介して前記金属製外殻部材の前記繊維強化プラスチック製外殻部材との接着界面側とその反対面側とに通して前記繊維強化プラスチック製の外殻部材と前記金属製の外殻部材とを結合した”ことが本質的部分であり、

 貫通穴を通す回数が一回か複数かは本質的部分ではなく、置換可能性及び置換容易性などの要件も認められるために、均等侵害が成立します。


 [先の関連判決]
平成3年(ネ)第1627号(ボールスプライン事件の第2審)
 [後の関連判決]
 
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