[判決言い渡し日] |
1966年2月21日 |
[発明の名称] |
押下げ用キャップ付きのポンプ式スプレー |
[主要論点] |
先行技術の範囲・2次的考察(他人の失敗) |
[判例の要点] |
進歩性の判断に関して基本的事実の問いかけ(テスト)を示します。 @先行技術の範囲及び内容(scope and content)を決定すること。 A先行技術と請求項との相違点を確認すること。 B関連する技術(pertinent art)における当業者のレベルを定めること。 商業的な成功・長期間望まれていながら解決しなかった課題・他人の失敗の如き2次的成功は考慮することができます。 |
[本件へのあてはめ] |
@本判決は2つの事件(グラハム事件及びクック事件)を併合審理していますが、本稿では後者を扱います。後者に関しては383
U.S.1(I)を参照して下さい。 A本事件の特許発明は、一本指で操作可能なポンプスプレーと、スプレーの下半部を挿入した容器と、容器の口部へポンプスプレーを固定する固定具と、スプレーを覆って押し下げるとともに固定具へ螺合されるキャップとからなるポンプ式スプレーであり、固定具はキャップとのシール手段であるリブを有します。 Bこの発明は、殺虫剤入り容器へのポンプスプレーの簡易な装着を可能にしたいという殺虫剤業界の“長年要望されながら実現されなかった課題”に応えるもので、商業的な成功を収めました。特許庁では第1引例(Lohse特許)及び第2引例(Mellon特許)に基づいて審査が行われ、特許出願人はリブを発明の特徴と主張して特許となりました。裁判所で非自明性が争われ、リブに対応する構造を開示する第3引例(Livingston特許)が引用されました。 C特許権者は、次のように反論しました。 (イ)第3引例は注出口を有する液体容器であったため、関連する先行技術ではない ∵発明者が創作しようとした努力した分野(ポンプスプレー)ではないし、発明者及び殺虫剤業界が直面していた課題とも関係がない (ロ)この課題にチャレンジして試作品を開発した者がいたが実用化に至らなかったこと(他人の失敗)及び商業的成功が発明の非自明性の裏付けとなると主張しました。 D裁判所は、次の理由で特許権者の主張を退け、特許は無効と判断しました。 (イ)に関して、発明者が直面した問題は、容器と容器に装着される物とのシールの問題であり、第3引例は関連する先行技術である。 (ロ)に関して、非自明性の判断において、商業的成功のような非技術的ファクターは2次的な考察事項に留まる、他人の失敗は失敗に対する対処方法(第3引例)が公知となった時点で非自明性の裏付けとしての根拠とするに足りない。 |
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