[判決言い渡し日] |
2016年2月17日 |
[発明の名称] |
モータ駆動双方向弁とそのシール構造 |
[主要論点] |
サポート要件違反の第4類型(請求項において発明の詳細な説明に記載の課題解決手段が反映されていない)の解釈、進歩性の解釈における阻害要因の判断 |
[判例の要点] |
@特許出願がサポート要件を具備しているかどうかは、本件発明の技術的意義を考慮するべきであり、 A進歩性の判断において引用発明中の技術的要素の設計変更に阻害要因が存するか否かはその技術的要素の役割が考慮されるべきです。 |
[本件へのあてはめ] |
@本発明の解決するべき課題は、従来技術のリードスクリュー(可動部分)とその貫通孔(静止部分)との間のシール構造においては、シール材としてのOリングが経年変化を起こし、粘着状態になってしまうなどの問題点を解決することです。 本発明の技術的意義は、前記課題を解決するために、ステータヨークの内周面に接するように非磁性材の薄板パイプを(シール材が嵌装される静止部分として)配設し、Oリング等のシール材と共に内部の気密を確保するシール構造を成すことです。 かかる本件発明の技術的意義に鑑みれば、静止部分でのシール構造を得るためには、「Oリング等のシール材と共に内部の気密を確保するシール構造をなし、当該シール材が嵌装される静止部分となる非磁性材の薄板パイプ」であれば足り、シール材が薄板パイプの幅方向の両端部にあることは必須ではないので、これを限定していないことを以てサポート要件違反にはなりません。 A引用発明におけるシール体zは、弾力性ある部材であり、それ自体でシール構造を成すとともに、ステータxとロータyとを隔てる役割をも果たしており、シール体zにOリング等のシール材を嵌装すれば、Oリング等のシール材を介してシール体zに外力が加わることとなり、この外力により弾力性あるシール体zが変形してロータと接触したり、あるいは気密性が失われたりするおそれがあるため、そのような構成を採用することには阻害要因があるというべきですので、進歩性を肯定するべきです。 |
[先の関連判決] |
平成27年(行ケ)第10026号(サポート要件) |
[後の関連判決] |
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