[判決言い渡し日] |
平成24年
4月11日 |
[発明の名称] |
医薬 |
[主要論点] |
作用機序の異なる複数の医薬を組み合わせた併用医薬の引用発明としての成立性 相加的効果の発明の効果としての評価
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[判例の要点] |
引用例に化学(医薬)の発明の構成が記載され、効果の裏付けがない場合であっても、技術常識から効果が記載されているに等しいと認められるときには、発明の成立性が看取られる場合があります。その際には発明の機序(メカニズム)が考慮されます。
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[本件へのあてはめ] |
(a)引用例には、糖尿病の治療に関して発明の機序(インシュリン感受性を増強すること・糖の消化を遅延させて血糖値の上昇を抑えること・インシュリンの分泌を促進すること)が異なる三つの薬を使用することを提案していますが、将来の糖尿病治療の在り方を論じたものに過ぎず、併用医薬としての臨床データなどを欠いていたため、審決では発明が成立していないと判断しました。
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(b)しかしながら、糖尿病の薬物療法においては、薬理効果の作用機序が異なる医薬を併用使用することにより、各医薬の持つ作用の発現によって治療効果を高めていることは、一般的に行われていることを示す証拠があるとし、糖尿病の治療においては併用禁忌とされる組合せが見当たらないと指摘して、技術常識から引用例には効果が記載されているに等しいと判断しました。
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[先の関連判決] |
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[後の関連判決] |
平成25年(行ケ)第10255号(機序の相違を肯定的に評価した例)
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