体系 |
特許出願以外の保護 |
用語 |
実用新案登録出願の流れ(特許出願の流れとの比較) |
意味 |
実用新案登録出願は、国家に対して独占排他権の付与を請求する意思の表示である点で特許出願と共通しますが、特許制度を補完する趣旨から、実用新案登録出願の流れは、特許出願の流れと相違するところがあります。
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内容 |
@出願手続の流れ
(a)実用新案登録を受けようとする者は、願書(実用新案登録願)を特許庁に提出しなければなりません。
実用新案登録出願は、特許出願と同様に、独占権付与請求の意思表示であり、両者の間には先願主義による調整があるため、技術的思想の保護を求める者は、早期権利化の必要性や独占期間の長短を考慮して、実用新案登録出願をするのか、特許出願をするのかを選択する必要があります。
これは、当たり前のようでありながら、我国の実用新案法の特色の一つと言えます(→留意点)。
(b)願書には、明細書・図面・要約書を添付しなければなりません。
特許出願の場合には、図面は必要な場合に添付すれば足ります。図面で表現しにくい方法の発明や物質の発明も特許出願の対象となるからです。
これらの出願書類に対しては一定の期間内に補正をすることができます。 →実用新案登録出願の補正とは
(c)実用新案登録出願は、出願と同時に1〜3年次の登録料を納付しなければなりません。 無審査主義を採用しているからです。
特許出願の場合には、実体審査を経て特許査定になった後に特許料を納付すれば足ります。
(d)PCT出願の場合
国際出願に図面を含まない場合には、図面を提出しなければなりません(実法48条の7第1項)。
なお、図面は新規事項を含むときには、無効理由を生じますので、考案の対象を抽象的に示す概念図とするなどの工夫が必要です。
A審査手続の流れ
(a)方式審査の流れ
(イ)特許庁長官は、出願の代理権の欠陥、方式違反、手数料の不能を審査し、不備があれば補正命令を出します。
補正がない場合、特許庁長官は出願人に弁明書の提出の機会を与えた上で、出願を却下するものとします。
(ロ)基礎的要件の審査(実6条の2)。 特許庁長官は、実用新案登録出願の基礎的要件を審査します。
基礎的要件とは、物品の形態に係る考案ではないこと、公序良俗違反、登録請求の範囲の記載不備・単一性違反、明細書・図面の著しい不明確性などです。
特許出願の場合には、これらの要件は実体審査の中で審理されます。
基礎的要件が不備である場合、特許庁長官は実用新案登録出願人に補正を命ずる。これに対して、出願人は、手続補正、出願分割、出願変更で処理できます。
B登録手続きの流れ 実用新案登録出願が放棄・無効とならない出願には実用新案権が付与されます。
無審査主義を採用しているからです。特許出願の場合のように実体審査の下で拒絶査定・特許査定が行われるのとは相違します。
D出願人の任意の手続
(イ)実用新案出願人は出願日から2月間明細書等を自発補正できます。無審査主義の下で限られた期間の中で補正を認める趣旨です。
特許出願の場合には、実体審査の障害にならない範囲でより緩やかな時期的要件が課されています。
(ロ)実用新案登録出願人に限らず、何人も実用新案技術評価の請求をすることができる(実法12条)。
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留意点 |
例えばドイツの実用新案法は、無審査主義とともに特許が登録されるまでの暫定的な保護与えることを主たる機能としており、特許出願とともに実用新案登録出願をするのが通常です。
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