体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商品・役務の類似 |
意味 |
商品・役務(以下「商品等」という)の類似とは、二つの商品等が同一若しくは類似の商標を付した場合に出所混同を生ずる程度に近似していることをいいます。
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内容 |
@商品等の類似の意義
(a)商品等の類否は、その出所混同のおそれの有無で判断するべきであり、商品等自体を混同するかどうかの問題ではありません。
(b)従って商品と役務との間でも類似関係が成立することがあります(商標法第2条第5項)。
A類否判断の基準
(a)商品等の類否は、同一・類似の商標を使用した場合に一般的出所混同を生ずるか否かで判断されます。
(b)なお、商品等の類否は、未だ取引上使用されておらず、商品の産地等と無関係であり、通常の識別力を有する造語商標を基準として判断する必要があります。
B類否の判断要素
(a)商品同士では、商品間の共通性(例えば清酒と焼酎の如き生産・販売部門の共通性)があると類似とされる可能性が高まります
(b)役務同士では、役務間の共通性(例えばアルコール飲料の提供と西洋料理の提供の如き、提供の手段・目的・場所の共通性など)があると類似とされる可能性が高まります。
(c)商品と役務とでも、両者の共通性(例えばコーヒーの提供とコーヒー豆の如き提供・販売場所の共通性など)があると類似とされる可能性が高まります。
→商標の類似とは
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他法との関係 |
特許出願の対象である発明は、技術的アイディアであって、アイディアの内容に応じて発明の適用対象が定まります。例えば靴の底に滑り留めを講ずるというアイディアを創作したら、特許出願人自らの判断で、“靴”とか“履物”とかいうように発明が適用される範囲を定めて請求項を作成します。
他方、商標出願の対象は、自他商品・自他役務の識別のための標章であり、どの商品等に使用しないと商標の機能を発揮しないというものではありません。出願人が使用したいと思う商品や役務を好きに(商標法第6条の制限はありますが)指定すればよいのです。しかしながら、商標権者が使用する範囲の周囲に他人が使用すると出所混同を生ずる範囲が存在すると想定されるため、商品・役務の類似という概念を商標権の効力範囲に導入して保護範囲に広がりを持たせているのです。
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留意点 |
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