体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標の類似 |
意味 |
商標の類似とは、商品又は役務(以下「商品等」という)の識別標識として2つの商標を対比したときに、取引の経験則上で、その外観・称呼・観念の何れかが相紛らわしい結果として、同一・類似の商品等に使用すると出所混同を生じ得ることをいいます。
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内容 |
@商標法は、商品等の出所混同を防止し、取引の秩序を維持することで産業の発達と需要者の保護とを図るものです。
しかしながら、具体的な出所混同の範囲は、実際に商標がどの程度或いはどのように使用されるかということに左右されます。従って、登録前に使用することを登録要件としない我国の商標法では、仮に現実の出所混同だけを問題とすると未使用の商標をフリーパスで登録することになりかねず、非常に困ったことになります。
→登録主義
そこで商標法は、取引の経験則から商標の類似の範囲という概念を商標権の効力及び登録要件に導入し、同一・類似の商品等に使用される同一・類似の商標の範囲を出所混同の範囲と擬制する(みなす)ことにしました(下図参照)。
→商標法第1条第1項第11号
A商標の類似の意義 (a)商標の類似は、取引の経験則から一般的に出所混同を生ずるおそれがある範囲として導入されたものです。
(b)従って、経験則に照らして、商標の外観・称呼・観念が紛らわしいかどうかで画一的に判断することを基本とします。
(c)その判断は、同一・類似の商品等に使用されたときに出所の混同を生ずるおそれがあるかという観点から行われます。
(d)商標の類否の判断は、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察するべきです。
B商標の類似の態様
(a)外観類似 目で商標を見て相紛らわしいことです。
(b)称呼類似
耳で商標を聞いて相紛らわしいことです。実務上最も大事な類似態様です。
(c)観念類似
商標の意味内容が相紛らわしいことです。
C判断手法 (イ)観察の時と場所を異にする隔離観察により判断します。
(ロ)原則として商標の全体観察により判断します。
(ハ)必要により商品の属性や需要者層を考慮して判断します。
→商標の観察方法とは
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他法との関係 |
特許出願の対象である発明は、技術的思想であり、その抽象性故に一定の広がりを有していますが、商標出願の対象は、文字・図形など標章であって、それ自体には広がりがありません。そこで商標の出所表示機能などを保護するために、商標権の効力範囲に商標の類似という概念を導入して、保護対象に広がりを持たせています。
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留意点 |
参考図69
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