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040 商標出願の査定後/商標権/不正使用取消2 |
体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
使用権者の不正使用による登録取消審判 |
意味 |
使用権者の不使用による登録取消審判とは、商品又は役務(以下「商品等」という)の誤認混同行為を使用権者が専用権又は禁止権の範囲でしたことを理由として商標登録を取り消す審判をいいます(商標法第53条)。
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内容 |
@不正使用による登録取消審判の趣旨
商標権者は登録商標の類似範囲−いわゆる禁止権の範囲−では他人の権利と抵触しない限りで事実上の使用を許されずにすぎず、この範囲で商品等の誤認混同行為をしたときには不正使用に対する商標登録の取り消しという制裁が科されます。
→商標権者の不正使用による登録取消審判とは
しかしながら、商標権者が使用を認めた使用権者が専用権・禁止権の範囲で他人の商品等との誤認・混同を生じさせた場合にも、需要者の利益を損ないます。こうした行為を辞めさせるために制裁規定を置くことが望まれますが、私人が設定した使用権を行政機関が取り消すということは法律的に疑義があります。
そこで使用権者の不正使用に対する制裁規定として、商標登録取消審判を採用し、これにより商標権者に使用権者に対する監督義務を課すことにしました。
A不正使用による登録取消審判の請求要件
(A)不正使用の範囲は、商標権の効力全体(専用権及び禁止権)です。専用権の範囲でも例えば商標権者の商品より明らかに劣悪な商品を需要者に提供したりすると、需要者の利益を害するからです。
(B)不正使用の態様
商品等の質の誤認に関しては、例えば清酒を指定商品とする「○○正宗」を焼酎に使用することをいい、上述の通り商品の質の劣悪を含みます。
商品等の混同に関しては、登録商標「△△」を他人の著名商標「△△丸」に改変するごとき場合をいいます。
他人には、商標権者及び使用権者を含みますが、使用許諾された範囲での商標権者との混同は問題になりません。使用許諾制度が予定している範囲だからです。
(C)故意に関して 本審判の請求では、故意は取消要件ではありません。
但し、商標権者が使用権者に対して相当の注意をしており、不正使用に気付かなかった場合には取消を免れます。
(D)本審判は何人も請求できます。不正行為に対する制裁規定だからです。
B不正使用による登録取消審判の請求の効果
(A)取消審決の確定により商標権が将来的に消滅します。
(B)商標権者であった者又は不正使用をした使用権者は、審決確定の日から5年間登録商標又はこれに類似する商標に関して指定商品等又はこれらに類似する商品等について商標登録を受けることができません。
本条が制裁規定であることがこれにより明確になります。
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留意点 |
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