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 商標に関する専門用語
  

 No:  044   

商標出願/識別力/簡単かつありふれた・ケース1

 
体系 商標制度に関する事項
用語

きわめて簡単でかつありふれた標章のケーススタディ1(商品との関係)

意味  きわめて簡単でかつありふれた標章のみからなる商標とは、商標の構成上から商品又は役務(以下「商品等」という)の識別力を営み得ない、或いは私人への独占適応性がないとして、商標出願しても登録を受けることができません。ここでは“きわめて簡易かつありふれた”という文言と商品との関係をケーススタディします。


内容 @事件の番号:昭和6年(オ)第2831号(大審院)

A事件の種類:商標出願の拒絶査定に対する抗告審判の審決取消請求事件

B出願商標:片仮名の“ツ”一文字を○で囲った標章のみからなる商標

C指定商品:食料品缶詰一切→獣肉の缶詰(旧45類)

D権利者(上告人)の主張
(a)(上告人は、既登録商標の連合商標として)本件商標の登録を出願し、その指定商品を第45類獣肉の缶詰に訂正限定した。
→連合商標とは

(b)原審決は、本件商標は商品につき普通一般に使用せられ自他商品の識別標識たるに足る特別顕著性を具有せずとして登録すべからざるものと決した。

(c)しかしながら本件商標が各種商品に関し普通一般に使用される旨の原審決の説明は上告人の理解できないものであり、仮にある種の商品に関してそうであるとしても第45類に関する獣肉の缶詰に関し一般に使用せらるるものと断ずることを得ない。

(d)(本件商標は)上述の如く我国を通じて各種商品中製造者が最も少ない缶詰の製造販売者たる上告人の登録商標として一般に認識されるに至ったものである。

(e)およそ商標における特別顕著性の有無は諸般の事実を総合考慮してこれを決せざるを得ない。簡単なる文字図形といえども取引上特定人の商標として認識せられ人の注意を惹くに足る事情の存在する場合においては特別顕著性ありとしないわけにいかない。
特別顕著性とは

E裁判所の判断
(A)結論:本件商標の識別性(特別顕著性)を否定した原審決を取り消す。

(B)理由

(a)(旧)商標法第1条第2項が登録を受けることを受けることができる標章は特別顕著なるものを要する旨を定めているのは、普通一般に当該種類の商品につき用いられる文字図形記号又はその結合はこれを登録される商標より除外し、以てこれら標章の使用を自由ならしめ、不測の間に他人の商標権を侵害するが如きことがないようにするとともに、他方これらの如き標章を商標として登録することにより生ずべき自他商品の混同を防ごうとすることにある。

(b)そのような趣旨であるから、一の標章がいわゆる特別顕著性を備えるか否かを定めるにはすべからくその標章の商標として登録される種類の商品につき当該標章が普通一般に使用されるものか否かを判定することを要するものと言わざるを得ない。けだし、商品の種類は千差万別、極めて単純なる記号であるといえども商品に対して顕著なる特徴を興すことがある。

(c)この点に関しみだりに一般商品に共通する原則を臆断することは許されない。

(d)原審決の判断したところを見ると、現審決は本件標章は円形輪郭中に片仮名の「ツ」の字を書いて各種の記号又は略号として商品に普通一般に使用されているから、自他商品の識別標識たるにたる特別顕著性がないとしているけれども、このように簡単なる記号といえども商品によってはこれに特別顕著性を認めるべきことが上説の通りであるので、原審の判断は、本件標章が登録によりその取引を保護せんとする商品の種類の対象に関する考察を欠く点において、あるいは実験則を無視しているおいて審理不盡であるので、上記の如く破毀せざるを得ない。


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