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 商標に関する専門用語
  

 No:  045   

商標出願/識別力
/特許出願

 
用語

「自己の」とは(商標法第3条第1項)

意味   「自己の」とは、商標出願の要件である「自己の業務に係る商品又は役務に使用される商標」の一部であり、商標出願人自らの業務に使用する商標であることを意味します(商標法第3条第1項柱書)。
 なお、「商品又は役務」のことを「商品等」と略称します。


内容 @「自己の」の要件を求める趣旨
 工業所有権法のうち、例えば特許出願の対象は自然法則を利用した技術的思想であり、当然ながら誰が使用(実施)しようとも、自然法則に依って所定の効果が発揮され、産業の活動に寄与します。従って特許出願人が最初から他人(実施権者)させる積りであっても、それに対して国が異をとなえる道理がありません。

 他方、商標出願の本来の保護対象は、商標の使用によって当該商標に蓄積される業務上の信用であり、商標は、いわば信用を化体させるための拠り処として商標出願人が恣意的に使用する選択物に過ぎません。

 選択物だからと言って商標自体に価値が全くないというと言い過ぎになります。例えば現年号であるとか、流行語などに由来する造語商標などは、需要者を惹き付ける強い力(→顧客吸引力)があるため、商標としての働きが強く、誰もが使用したいと考える傾向が強いのです。しかしながら、商標出願は商標の創作性に起因して保護を求めるものではない(∵特許出願のように新規性・進歩性が要求されない)ので、法律上は創作物としての価値がないと言わざるを得ません。創作性の代わりに保護の条件として要求されるのが「商標を使用する意思」です。

 現行の商標法は他人への使用権の設定・許諾を認めており(→使用許諾制度とは)、また商標を営業と切り離して譲渡することも認めているので(→商標権の譲渡)、結果として商標を使用するのが商標出願人ではなくても構いません。しかしながら、商標出願の当初から「商標を使用する意思」に“他人の意思”を含めることを認めると、例えば他人の流行語にあやかった商標の出願を各商品区分毎に多数行って、権利になったら他人に売りさばくという業者(いわゆる商標ブローカー)が出てくるおそれがあり、それを許すことは商標法の趣旨に反します。そういうことをさせると、売れ残った商標権は、使用の見込みもなく保護対象を化体しない空っぽの商標権となり(→商標権の空権化)、他人の商標選択の余地を狭めるからでる。

 そこで商標法は、保護要件としての商標の使用の意思に関して「自己の」という条件を付けているのです。

A「自己の」の内容
(A)「自己の」という要件が課されているため、前述の通り、最初から、他人への譲渡を意図とした商標の出願は出来ません。

(a)こうした意図があるかどうかは、行政機関として判断しにくい場合が多いでしょうが、自己の業務に係る商品等に使用する商標でないことが明らかであるときには、その旨の拒絶理由通知が商標出願人に対して発せられます。

(b)具体的には商標出願人の業務が法律によって制限されているために、自己の業務に係る商品等に使用する商標でないことが明らかな場合。
 Ex. 宗教法人が営利活動を目的として商標の出願をした場合

(c)指定商品又は指定役務が係る業務を行うことができる者が法令上制限されるために、商標出願人が指定商品・指定役務に係る業務を行わないことが明らかな場合。

(B)また「自己の」という要件より、最初から他人に専用実施権の設定・通常実施権の許諾を行うことを意図した商標の出願も、できません。
 しかしながら、団体商標の出願の場合には、当該団体が団体の構成員に使用させ、自らは使用しないものであっても構いません。もともと団体商標とは商標の所有者と商標の使用者とが分離しているものだからです。

(C)会社の設立発起人が予め当該会社が使用する商標の出願をし、会社の設立後に会社に名義変更することは許されると理解されます。


留意点

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