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056
商標出願/不登録事由/4条1項11号/先願主義/特許出願 |
体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第11号と先願主義との関係 |
意味 |
商標法第4条第1項第11号は、先願に係る他人の既登録商標との抵触禁止について規定しています。ここでは本号と先願主義との関係について説明します。
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内容 |
@先願主義との関係
商標法では、先願主義の下で他人の出願を排除する地位(いわゆる先願の地位)が認められるのは、当該出願が特許庁に係属している間に限られます。
特許出願の対象である発明は創作物であるため、拒絶査定が確定した特許出願にも先願の地位が認められますが、商標出願の対象は選択物(自他商品・自他商品の識別標識として選択されるもの)であるため、査定が確定した商標出願には先願権を付与するべきではありません。商標権が放棄(又は消滅)した後に次の事業者が同じ商標を選択する余地を残すためです。
そこで先願主義とは別に商標権が存続している間だけ他人の既登録商標と抵触する商標を排除する商標法第4条第1項第11号が採用されました。
A先願主義との調整
上記の結果として、先願者甲と後願者乙とが競合した場合には、先願者にのみ商標登録され、後願者には商標登録されません。
この場合には、後願者乙に対しては、先願者甲に商標登録されるのを待って商標法第4条第1項第11号違反で拒絶理由通知が発せられます。従って先願主義違反は出願拒絶理由にはなっていません。
しかしながら、仮に後願者乙に誤って先に登録が行われた場合には、この登録の時点では先願者甲の登録は存在しないので、乙の商標登録を商標法第4条第11号違反で無効とすることができません。そこで先願主義違反を登録無効理由として、乙の登録を無効とすることにしているのです。
→商標法第4条第1項第11号とは
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留意点 |
(参考図87)
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