体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第11号違反の拒絶理由通知への対応策 |
意味 |
商標法第4条第1項第11号は、先願に係る他人の登録商標と同一・類似であって、指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という)も同一又は類似である商標を登録しない旨の規定です。
ここでは同号違反の拒絶理由通知を受けた商標出願人の対応を説明します。
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内容 |
@商標法第4条第1項第11号違反の拒絶理由通知に関して
商標法第4条第1項第11号違反の拒絶理由は、商標出願に対する拒絶理由のうちで最も良くあるものです。基本的には、商標出願の前に行う商標調査において同号の根拠となる他人の登録商標が存在すれば商標出願をすること自体を見合わせ、別の商標を選択することが奨励されます。しかしながら、例えば類似範囲の境界線上にあるような場合にはあえて商標出願してみるという選択肢もあります。
A前提的な対応 商標法第1条第1項第11号の要件は (a)先願の登録商標が現在の時点で存在すること
(b)その登録商標が他人のものであること
(c)商標が同一・類似であり、かつ、指定商品又は指定役務(以下「指定商品等」という)が同一・類似であること、 です。
同号の拒絶理由を受けた商標出願人は、まず書類閲覧をして、拒絶理由に記載された商標が上記の要件を満たしていることを確認する必要があります。特に(a)に関しては、過去の登録が存在していたかどうかではなく、登録が現存していること、登録不更新などにより失効していないことを、登録原簿で確認することが必要です。
原簿による状況確認は、商標出願だけでなく、特許出願や意匠出願への拒絶理由通知の対応でも非常に重要なことです。
そして商標出願人は、拒絶理由の内容を吟味して、当該理由が承服できるか否かに応じて対応策を検討します。
A商標法第4条第1項第11号違反の拒絶理由に承服しない場合の対応 商標出願人は、意見書により反論することができます。
→意見書提出期間(商標出願の場合)
B商標法第4条第1項第11号違反の拒絶理由に承服しない場合の対応
本号違反に該当しても直ちに商標出願をあきらめるのではなく、次のような対応策を検討することが奨励されます。
(イ)指定商品等の削除
指定商品等の一部に関して他人の既登録商標と類似関係にあるときには、類似する指定商品等の部分を削除することで拒絶理由を解消できます。
これにより前述要件(c)が覆るからです。
(ロ)不使用による登録取消審判の請求
他人が長期間に亘って商標を使用していない場合には、商標出願人は不使用による登録取消審判を請求できます。
それにより登録が取り消されれば前述の要件(a)(指定商品等の一部取消の場合には要件(c))が覆るからです。
→不使用による登録取消審判とは
(ハ)不正使用取消審判・無効審判の請求
仮に他人が商品等の誤認混同などの不正使用をしているか、或いは商標登録に無効理由が存在すれば、商標出願人はこれらの審判を請求できます。
それにより登録が取り消し・無効となれば、前述の要件(a)が覆るからです。
(ニ)商標権の譲渡などの交渉
例えば他人の事業にとって登録商標がそれほど重要でない場合(特に現在使用しておらず、将来も使用する予定がない場合)には商標登録を譲り受けることの交渉をすることが考えられます。
商標登録を譲りうければ前述の要件(b)が覆るからです。 →商標法第4条第1項第11号とは
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留意点 |
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