体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第10号のケーススタディ1 |
意味 |
商標法第4条第1項第10号は、他人の業務に係る商品又は役務(「商品等」という)を表示するものとして需要者に広く認識された商標(周知商標)と同一・類似であって、同一・類似の商品等に使用するものを登録しない旨を定めています。ここでは認識の地域性に関してケーススタディします。
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内容 |
@事件の番号:昭和57年(行ケ)第110号
A事件の種類:商標登録無効審判の審決(請求棄却)の取消請求事件(棄却)
B登録商標:DDC
C指定商品:第二九類「茶、コーヒー、ココア、清涼飲料、果実飲料、氷」
D原告の主張
本件商標は請求人がその代表者Xのしていた個人営業を昭和三四年に承継し、引続きその営業としてコーヒー、ココア、紅茶について永年使用した結果、本件の商標出願の日前より需要者の間に広く認識されていたものであるから、商標法第四条第一項第一〇号の規定に違反して登録されたものである。
E裁判所の見解
(a)全国的に流通する日常使用の一般的商品について、商標法第四条第一項第一〇号が規定する「需要者の間に広く認識されている商標」といえるためには、
それが未登録の商標でありながら、その使用事実にかんがみ、後に出願される商標を排除し、また、需要者における誤認混同のおそれがないものとして、保護を受けるものであること及び今日における商品流通の実態及び広告、宣伝媒体の現況などを考慮するとき、
本件では、商標登録出願の時において、 ・全国にわたる主要商圏の同種商品取扱業者の間に相当程度認識されているか、
・あるいは、狭くとも一県の単位にとどまらず、その隣接数県の相当範囲の地域にわたって、少なくともその同種商品取扱業者の半ばに達する程度の層に認識されている
ことを要するものと解すべきである。
(b)前記認定事実によれば、原告の使用によってDCCが、主として専業的な喫茶店をはじめとする当該継続的取引先の相当数の取扱業者の間で、原告の営業ないし原告取扱いのコーヒー等の商品を表示するものとして認識されていたことが窺われるけれども、
・その主な販売地域である広島県下でも専業的な喫茶店等に対する取引占有率は高々三〇パーセント程度に過ぎず、
・一般的な食堂、グリル、レストラン等の存在をも考慮すると、DCCを原告の業務に係る商品を表示するものとして認識していた同種商品取扱業者の比率は更に下まわる、
・隣接県である山口県、岡山県等におけるそれらの比率は遥かに広島県に及ばない
から、商標法第四条第一項第一〇号に規定するような需要者の間に原告の業務に係る商品を表示する商標として広く認識されていたものとまではいい難い。
したがつて、本件商標がその登録出願日前に原告の営業に係る商品を示す商標として需要者の間に広く認識されていたとは認められないとした審決の判断に誤りはない。
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留意点 |
→商標法第4条第1項第10号とは(周知商標との抵触禁止)
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