体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第1号とは(国旗等又は外国の国旗の保護) |
意味 |
商標法第4条第1項第1号は、国旗・菊花紋章・勲章・褒章(以下「国旗等」という)又は外国の国旗と同一又は類似の商標を登録しない旨を定めています。
|
内容 |
@商標法第4条第1項第1号の趣旨
商標法は、商品又は役務(以下「商品等」という)の出所混同を防止することで、商標に化体される業務上の信用を保護するため、登録主義(商標法第18条)の下で、商標権(商標法第25条、第37条第1号)を付与するものです。
こうした法目的を達成するため、保護対象たる業務上の信用を化体する前提として、商標の機能を営むこと(自他の商品等の識別力)を、商標の一般的適格性として要求します。
しかしながら、商標の機能を発揮するものでも、国旗等・外国の国旗に類似する商標を一私人に登録すると、国旗等や外国の国旗が表象する国家等の威厳を私人の営業活動に利用することになりかねず、国家等の尊厳性を害します。
そこで公益的不登録事由として商標法第4条第1項第1号が規定されました。
A商標法第4条第1項第1号の適用要件
(a)国旗・菊花紋章・勲章・褒章又は外国の国旗が存在すること。
(イ)「勲章、褒章又は外国の国旗」は、現に存在するものに限るものとします。
(ロ)「外国」とは、我が国が承認している国に限らず、承認していない国をも含みます。
(ハ)色彩のみからなる商標のうち、色彩を組み合わせてなるものが国旗、菊花紋章、勲章、褒章又は外国の国旗と同一又は類似の標章である場合には、原則として、本号の規定に該当するものとします(※1)。
(b)国旗等又は外国の国旗と同一又は類似の商標であること
(イ)本号の趣旨は、国旗等や外国の国旗の尊厳性の保護なので、その尊厳性を害するか否かで判断されます。
・従って出所混同のおそれの有無と関連する通常の商標の類否とは異なります。
・例えば国旗は一定の称呼を生ずる可能性がありますが(例えば日本の国旗に「ヒノマル」)がありますが、これらに関しては登録例があり、国旗と類似のものとは扱われていません。
(ロ)商標の一部に国旗又は外国の国旗の図形を顕著に有するときは、国旗又は外国の国旗に類似するものとします。
→商標法第4条第1項第1号のケーススタディ1
(ハ)国旗又は外国の国旗の尊厳を害するような方法で表示した図形を有する商標は、たとえ、それらと類似しない場合であっても、第4条第1項第7号の規定に該当するものとする。
B商標法第4条第1項第1号の法上の取り扱い
(a)同号に該当するときには、商標出願の拒絶、商標登録の無効・異議申立の理由となります。
本号は、公益的不登録事由であるため、除斥期間の適用がなく、後発的無効理由となります。
|
留意点 |
(※1)…商標法審査基準
|