体系 |
商標制度に関する事項 |
用語 |
商標法第4条第1項第2号とは(パリ条約の同盟国等の国の紋章その他の記章の保護) |
意味 |
商標法第4条第1項第2号は、パリ条約の同盟国・世界貿易機関の加盟国・商標法条約の締約国(以下「同盟国等」という)の国の紋章その他の記章のうち指定されたものと同一又は類似の商標を登録しない旨を定めています。
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内容 |
@商標法第4条第1項第2号の趣旨
商標法は、商品又は役務(以下「商品等」という)の出所混同を防止することで、商標に蓄積される業務上の信用を保護するため、登録主義(商標法第18条)の下で、商標権(商標法第25条、第37条第1号)を付与するものです。こうした法目的を達成するため、保護対象たる業務上の信用を蓄積する前提として、商標としての機能を営むこと(自他商品・自他役務の識別力)を、商標の一般的適格性として要求します。
しかしながら、商標の機能を発揮するものでも、パリ条約の同盟国等の国の紋章に類似する商標を一私人に登録すると、それらの同盟国等の尊厳を害する可能性があります。
このため、パリ条約6条の3(1)(a)は、「同盟国は、同盟国の国の紋章、旗章その他の記章…並びにこれらの紋章学上それらの模倣と認められるものの商標又はその構成部分としての登録を拒絶し又は無効とし」と定めており、世界貿易機関に関するTRIP協定及び商標法条約でもパリ条約の規定の遵守が定められています。
そこで我国は、こうした条約上の要請に応えるために、公益的不登録事由として商標法第4条第1項第2号を規定しました。
A商標法第4条第1項第2号の適用要件
(a)パリ条約の同盟国等の国の紋章その他の記章が存在すること。
記章には、同盟国の国の紋章、官庁の記章などが含まれますが、勲章は含まれないと言われています。
(b)当該記章が経済産業大臣により指定されていること。
上記パリ条約第6条は、各同盟国が保護を要する記章を他の同盟国の官庁に通知する旨を定めており、この通知を受けて経済産業大臣が指定した記章を保護すれば、条約上の義務は果たされるからです。
(c)当該記章と同一又は類似の商標であること。
(イ)記章の類似は、上述の紋章学上の模倣を排除するための概念です。
従って商品等の出所混同との関係で規定された通常の商標の類似の概念とは相違します。
(ロ)なお、商標の一部に記章などを顕著に含む場合には本号に該当すると解釈されます。 →商標法第4条第1項第2号のケーススタディ1
B商標法第4条第1項第2号の法上の取り扱い
(a)同号に該当するときには、商標出願の拒絶、商標登録の無効・異議申立の理由となります。
(b)本号は、公益的不登録事由であるため、除斥期間の適用がなく、後発的無効理由となります。
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留意点 |
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