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 商標に関する専門用語
  

 No:  140   

結合商標の類否判断CS2/商標出願/商標の類否

 
用語

文字・図形の結合商標の類否のケーススタディ2(ギベルティー事件)

意味  結合商標とは、複数の同種又は異種の要素を結合してなる商標であり、その類否はこれらの要素の外観・称呼・観念の一つに拘泥せずにこれらの3要素を総合的に考慮して判断するべきとされます。


内容 @結合商標の類否の意義

(a)結合商標の態様として、文字と文字との結合・図形と図形との結合のように同種類の要素の結合、文字と図形との結合・文字と立体的形状の如き異種類の結合とがありますが、ここでは文字と図形との結合商標の類否に関して説明します。

(b)結合商標の類否判断において、審判では、結合された複数の要素の外観・称呼・観念から一体不可分と判断されるべき事情を探す傾向があります。

 例えば、図形部分が文字部分の意味を特定するために寄与しているとか(→文字・図形の結合商標の類否のケーススタディ3)、

 或いは図形の一部が文字の一部分を兼ねるように図案化されており、視覚的な一体性があるとか(→文字・図形の結合商標の類否のケーススタディ5)、

 或いは図形部分が一定の称呼を生じ、これが文字部分の意味内容と結びついているという如くです。

(c)しかしながら、そうした事情がない場合に、文字と図形との一体性を否定するのは必ずしも正しくありません。商標の類否は、外観、称呼、観念を総合的に判断すべきものだからです。

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A結合商標の類否の事例の内容

[事件の表示]平成6年(行ケ)第150号(商標出願拒絶審決取消請求・認容)

[判決の言い渡し日]平成 7年 3月29日

[事件の経緯]

 原告は、昭和六一年四月二五日、図形部分と「Gibelty」の欧文字及び「ギベルティー」の片仮名文字を上下二段に並べて横書きした文字部分とを組み合わせた構成からなる商標(「本願商標」)につき、指定商品を第一七類「被服、その他本類に属する商品」として、商標登録出願をし(昭和六一年商標登録願第四二二八二号)、拒絶査定を受けたので、これに対する不服の審判の請求をしました。

 特許庁が「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決をしたため、本件訴訟に至りました。

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[審決の内容]

 本願商標の構成中の文字部分は、図形部分とは外観上分離しているばかりでなく、文字部分が図形部分の愛称として親しまれているというような両部分が概念上不可分一体の関係にあるものというべき事由も見いだしえない。そうすると、文字部分は、図形部分より分離独立しても看者の注意を引きつける部分であるということができるから、文字部分をもって取引に資されることも決して少なくないというべきである。

[裁判所の判断]

(a)商標の類否は、同一又は類似の商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべきである(最高裁昭和三九年(行ツ)第一一〇号昭和四三年二月二七日判決)。

 また、今日のように情報媒体が多様化し、情報量が飛躍的に増大した社会において、世人は多量の情報を識別認識することに慣れ、個々の情報間の差異に敏感に反応する習性が培われていることは、当裁判所に顕著な事実であり、特に、限られた時間内に自己商品の特徴を取引者・需要者に訴え、顧客の購買力を喚起しなければならない広告媒体・商品表示等においては、従来から、一見して認識可能な図形の持つ情報伝達力が重視されて来ており、現時においては、これらに限られず、図形の持つ情報伝達力が文字の持つ情報伝達力と比肩するに足りる大きさを有するに至っている分野が多くなっているということができることも、経験則上明らかな事実である。

 このことからすると、商標の類否の判断において、商標の外観、観念、称呼の各要素は、あくまでも、総合的全体的な考察の一要素にすぎず、また、図形と文字の結合商標にあっては、文字部分のみをいたずらに重視して図形部分の持つ情報伝達力を軽んずることは、特段の理由のない限り許されず、当該商標における図形部分と文字部分の相互関係を慎重に検討しなければならないというべきである。

 (二) この見地から、本願商標をみると、本願商標の構成は、別紙一に表示したとおり、図形部分と文字部分よりなるものであり、その図形は、Gの飾り文字を記した白色の箱状の台の上に黒猫が尾を立てて横向きに座し、頭部を正面に向けて両眼を光らせていると認められる特徴のあるものであり、この右に、片仮名で太く横書きされた「ギベルティー」の文字と、その上段右半分に片仮名よりは小さいやや右に傾斜した欧文字で横書きされた「Gibelty」の文字からなるものであり、その指定商品である被服等に用いられる場合、図形部分と文字部分が特に分離して用いられる必然性はなく、両者はその構成どおり一体として用いられることを通常とするものと認められる。

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(b)(審決に対して)

 図形部分と文字部分との結合商標の場合に、両部分が外観上概念上不可分一体の関係にあるものと認めるべき事由がある場合のみにこれを一体のものとし、これに当てはまらない場合は別個のものとして、文字部分に依拠して商標の要部をとらえるとの考察方法は、前示のとおり、世人が個々の情報間の差異に敏感に反応する習性を有し、また、図形の持つ情報伝達力が文字の持つ情報伝達力と比肩するに足りる大きさを有するに至っている現時の社会情勢からすれば、結合商標の商品識別力を正当に評価する方法としては、安易にすぎるものといわなければならない。

 本願商標は、その文字部分の「ギベルティー」が特定の観念を持つものと認められないこととあいまって、その特徴のある図形もまた、取引者・需要者に強い印象を与えるものと認められるから、本願商標から「ギベルティー」の称呼が生ずるとしても、それは常にその特徴のある黒猫の図形とともに想起されるというべきであり、その意味で、本願商標からは、「黒猫の……」との観念が生ずるものと認めて差し支えないものというべきである。

 これに対し、引用商標は、上下二段に横書きした欧文字の「GIBALTI」及び片仮名の「ギバルティ」の構成よりなり、これらの文字の示すとおり、「ギバルティ」の称呼が生ずることは、当事者間に争いがなく、また、この構成から格別の観念が生じるものとは認められない。

 (三) 以上を前提に両商標を対比すると、両商標は全体として、その外観が相違し、観念においても差異があることは明らかである。

 のみならず、本願商標から「ギベルティー」の称呼が生ずるとしても、それは、常にその特徴のある黒猫の図形とともに想起されるものであるうえ、引用商標から生ずる「ギバルティ」の称呼とは第二音において差異があり、前示今日の情報社会における世人の習性と、一般に、外国語あるいは外国語を思わせる称呼の場合、発音の違いに比較的強い注意を向け、その差異を聴き分けようとする傾向があるとの経験則上認められる事実によれば、両者の称呼が相当に近似しているとしても、その称呼の近似性は、上記外観、観念の相違にかかわらず、総合的全体的に考察して両商標を類似するものとしなければならない程度にまで達していると認めることはできないというべきである。


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