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1057 付与前異議申立/特許出願の流れ/進歩性/特許出願中 |
体系 |
過去の制度 |
用語 |
付与前の特許異議申立 |
意味 |
特許権付与前の特許異議申立(以下「付与前特許異議申立」という)とは、平成6年の特許改正により廃止された制度であり、特許出願人に特許を付与する前に、特許出願の内容を公開(出願公告)して一般公衆に対して、特許を与えることに異議を申し立てる機会を与える制度です(旧55条)。
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内容 |
@付与前特許異議申立の意義
平成6年改正前は、まず審査官が自ら特許出願の新規性や進歩性などの特許要件を審査し、そして審査官が拒絶理由を発見しない(或いは拒絶理由が解消された)特許出願に関して出願公告が行われ、仮保護の権利を発生させるとともに、一般公衆に対して、当該特許出願に特許を付与することに異議を申し立てる機会を与える、という手続を行っていました。
換言すれば、特許出願の流れの中に、公衆による審査協力により瑕疵のある特許を事前に回避する仕組みを取り入れていたのです。
これら出願公告制度及び付与前特許異議申立制度は安定した権利の付与に貢献したと言われています。
しかしながら、国際的には特許後に異議申立を認める制度を取る国が多く、また、異議申立の審査に長期間を要すると特許権の成立時期が遅くなるため、国際的調和の観点や迅速な権利付与の観点から、平成6年改正で特許付与後の異議申立制度に移行しました。
→特許異議申立制度とは
A付与前特許異議申立の内容
(a)異議申立の主体
何人も異議申立をすることができます。
(b)異議申立の期間
特許出願について出願公告が行われた日から3月(昭和62年改正前は2月)に限って異議申立ができます。特許出願中に異議申立の期間を認めることになるため、審査がストップする期間を短くする必要があるからです。
(c)異議申立の理由
原則として、特許出願の拒絶理由と同じです。
公衆をして審査に関与させ、出願公告までに審査官が行った審査の不備を是正し、その審査をより完全なものとすることが目的だからです。
(d)異議申立の審査
・審査官が異議申立を審査します。
・審査官は、特許出願人に対して申立書の副本を送達するとともに、相当の期間を指定し、当該異議申立に対して特許出願人が答弁書を提出する機会を与えなければなりません(旧57条)。
・特許出願人は、異議申立の理由に示す事項に関して、明細書(特許請求の範囲を含む)及び図面について補正をすることができます。
・審査官は、異議申立に対して決定をし(旧58条第1項)、しかる後に当該特許出願に対して特許査定又は拒絶査定を行います(特許法60条)。
(e)異議申立の関連事項
異議申立の審査が長期化することで特許出願人の利益が損なわれることを防止するために、出願公告により特許権と類似の効力を有する仮保護の権利が特許出願人に与えられます(旧51条)。
→仮保護の権利とは
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