内容 |
@意見書提出期間(特許出願の場合)の意義
(a)特許出願に対して出願審査請求が行われると、新規性・進歩性などの実体的な特許要件が審査されます。そして審査官が進歩性などを欠如していると判断しても、直ちに特許出願が拒絶されることはなく、相当の期間を指定して、意見書を提出する機会が与えられます。
(b)意見書提出期間は、指定期間であり、法定期間ではありません(→法定期間とは)。
期間の長さを決めるのは審査官や審査官の権限の範囲ですが、実際には、事案の内容が勘案して(例えば進歩性の判断が難しいケースだからといって)期間を調整するようなことはありません。
(c)意見書提出期間内には、特許出願人は意見書又は補正書を提出することができます。意見書と補正書とは相互に独立の書面ですので、特許出願人は、補正書のみを提出しても構いません。例えば特許出願の請求項1〜3のうち請求項3だけに新規性・進歩性欠如の拒絶理由が来ており、その請求項3を削除するような場合です。
A意見書提出期間(特許出願の場合)の内容
(a)意見書提出期間は、通常、特許出願人が国内居住者である場合には60日の期間であり、また特許出願人が在外者である場合には3月間です(→在外者とは)。
(b)これらの指定期間に対して特許出願人は延長を請求できます。
(c)平成27年改正(平成28年4月1日より施行)に伴い、特許出願の審査段階での拒絶理由通知に対する応答期間の取り扱いが変更となりましたので、参考図に示して説明します。
(イ)特許出願人が国内居住者である場合であり、かつ指定期間が経過する前に延長を請求するときには、2月間の延長が認められます。
なお、従来は1月間しか延長が認められませんでした。
(ロ)特許出願人が国内居住者である場合であり、かつ指定期間が経過した後に延長を請求するときにも、2月間の延長が認められます。
なお、指定期間の経過後に延長の請求を認める制度はありませんでした。
(ハ)特許出願人が在外者である場合であり、かつ指定期間が経過する前に延長を請求するときには、1度の請求により2月間の延長が、また2度の請求により合計3月間の延長がそれぞれ認められます。
(ニ)特許出願人が在外者である場合であり、かつ指定期間が経過した後に延長を請求するときには、国内居住者と同様に、2月間の延長が認められます。
(d)これらの場合において、延長の請求に合理的な理由は不要です(従来は前記(イ)の場合に必要)。
(e)特許出願人は、指定期間内に延長請求をするときには、2100円を、また指定期間の経過後に延長請求するときには、その倍額を、それぞれ手数料として支払わなければなりません。
(f)特許出願の拒絶査定に対する不服審判の手続(前置審査を含む)において審判官・審査官が特許出願人に送付した拒絶理由に対しては従来通りの扱いです
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