パテントに関する専門用語
  

 No:  1071   

進歩性の判断(容易の容易の解釈)/特許出願

 
体系 実体法
用語

進歩性の判断(容易の容易の解釈について)

意味  進歩性の判断において“容易の容易”とは、引用例から特許出願に係る発明へ想到する時に2段階以上の設計の変更を直列的に積み重ねていくことを言います。


内容 ①進歩性の判断において“容易”の変更を重ねることの意義

(a)発明の進歩性とは、特許出願の際にその分野における通常の知識を有する者が既に公開された発明に基づいて容易に発明することができない程度の創作困難性をいいます。

(b)例えば要件A+Bからなる引用発明1に、要件B+Cからなる引用発明2及び要件C+Dからなる引用発明3を適用して、これらから特許出願人の発明(要件A+B+C+Dからなる)に想到することの容易性が問われているとします。

 このように一番目の“容易”の上に二番目の“容易”を積み重ねていく場合、一見したところ、容易に創作できた旨の論理付けができていても細かく見ると論理のほころびができている場合があります。例えば、

(イ)引用発明2の要件Cは引用発明1の要件Aが存在しないことを前提としており、要件Aがあるのであれば、要件Cを付加する動機付けがないとか、

(ロ)引用発明1の要件Aと引用発明3の要件Dとを組み合わせに阻害要因が存する

(ハ)引用発明1と引用発明3とでは技術分野が異なり、組み合わせることに困難性がある

 などです。

 (イ)に関しては、例えば引用発明2が解決しようとする技術的課題の前提となる基本的構成を引用発明1が有しておらず、複数の創作過程を積み上げれば特許出願に係る発明になるものの、何故引用発明2を引用発明1に組み合わせる理由が分からないというという場合が該当します。
進歩性の判断(容易の容易の解釈)のケーススタディ1

(c)形式的に“容易の容易”であるから、自明ではない(進歩性がある)とは必ずしも言えませんが、特許出願人の立場でこうした拒絶理由を受けたときには論理のほころびがないかどうかを十分に注意する必要があります。

②具体的内容

(a)創作の過程が二段階に分けられると言っても、各段階が並列的な関係にあるときには、該当しません。

 要件A+Bからなる周知例1及び要件A+Cからなる周知例2をそれぞれ主引用例に適用して本願発明に想到するような場合は対象外となります。

 具体的には、次の通りです。
引用発明1:転がりにくいと言う効果を奏する断面多角形の鉛筆
引用発明2:書いた文字を消すのに便利という効果を奏する消しゴム付きの鉛筆
本願発明:転がりにくくかつ書いた文字を消すのに便利と言う効果を奏する消しゴム付きの断面多角形のシャープペンシル

 この場合には、筆記具の本体に対して並列的に二つの変更を加えているだけですので、格別困難性が増すということはないのです。

(b)直列的な変更を加える場合でも、例えば慣用技術の付加と当該分野における自明の課題を解決する設計的事項の組み合わせのような場合には、結局、容易に創作できると判断される場合があります。
進歩性の判断(容易の容易の解釈)のケーススタディ2


留意点



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