体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Motion of Summary Judgement(略式判決の動議) |
意味 |
Motion of Summary
Judgement(略式判決の動議)とは、米国の裁判制度において正規の事実審理(トライアル)を省略して至る判決を求める動議を言います。
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内容 |
①Motion of Summary Judgement(略式判決の動議)の意義
(a)米国の正規の裁判手続では、トライアル(→トライアル(Trial)とは)が行われますが、これには非常に時間とお金とを要します。
これらを省略するために、決定的な証拠を入手した当事者の求めにより、トライアルを省略するのがSummary
Judgementであり{→Summary Judgement(略式判決)とは}、その求めをMotion of Summary
Judgementと言います。
(b)略式判決の動議を提出して、これが裁判所により却下されても、本訴の手続が始まるだけであり、動議を提出した側に格別の不利益はありません。
②Motion of Summary Judgementの内容
(a)Motion of Summary
Judgementを提出することを検討するべき場合として、第一に発明の技術的価値を否定する強い証拠が存在する場合、第二に特許出願人が米国特許商標庁を欺いて(フロード)特許を受けた場合、第三に当事者(発明者)の自白により特許性に疑義を生じた場合、第四にクレーム解釈により係争物が権利範囲外であることが明らかになった場合が該当します。
(b)第一の場合として、特許出願の日(或いは優先日)以前に存在した先行技術の発見により新規性や進歩性を否定する強固な証拠が提示された場合が該当します。
実務上では、例えばFriskit v. Real Networks (CAFC 2007-1583)
では、地方裁判所は非自明性(進歩性)を否定するsummary
judgementを示し、これに対する控訴で特許権者は二次的考察に基づいて進歩性を主張したものの、CAFCは結局地方裁判所のSummary
Judgementを支持したという事例が存在します(→二次的考察とは)。
換言すれば二次的考察が主要論点となるような事例においてSummary Judgementが行われたと言うことです。
(c)第二の場合として、米国特許出願の発明者宣誓書に本来の発明者でない人物が発明者としてサインし、これがフロードと判断されるようなケースが該当します。
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留意点 |
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