体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
陪審説示(Jury instruction) |
意味 |
陪審説示(Jury
instruction)とは、陪審トライアルにおいて、裁判官が法律的論点を整理して陪審員に説明することをいいます。
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内容 |
@陪審説示の意義
(a)陪審制度では、事件に関係する法律の詳細(特許法であれば特許権の効力・特許出願の要件など)を何も知らない一般市民が判断するため、何を、どういう基準で判断すれば良いかを法律家がアドバイスすることが必要となります。
(b)そのアドバイスが陪審説示であり、それを行うのは裁判官の仕事です。
(c)陪審説示の内容 第1に適用するべき実体法、第2に事実の証明責任の所在及び証明の程度、第3に陪審評決に至るための手続などを説示します。
→陪審評決とは
(d)陪審説示の時期 一般に、陪審説示は審理終結後に行われます。裁判官が当該審理の法的論点をまとめて説示するからです。
もっとも予め陪審員に論点を了知させるために審理の前に行う州もあるようです。
(e)陪審説示の形式 法的論点を質問形式にまとめることが通常です。
A陪審説示の内容
(a)例えば特許侵害事件では、特許出願人によって記載された書面のうちの請求の範囲(クレーム)で特許権の範囲が確定されることを説明し、
・係争物がクレームの文言通りの範囲に該当するか否か
・係争物がクレームの文言通りの範囲に該当しない場合には、その均等の範囲に該当するか否か
などが論点となる旨を説明されます。
過去においては、陪審説示が不適切であるために陪審の評決が間違った方向に導かれる事例も存在しました。 →陪審説示(Jury
instruction)のケーススタディ
こうした事例を反省点として踏まえ、今日では、法律家の団体により、特許事件に関する陪審説示のモデルが提唱されています。 →モデル特許陪審説示(Model Patent
Jury Instruction)とは
(b)特許無効確認訴訟に関して、米国特許法では、特許権は有効であると推定され(282条)、この推定を覆すためには「明確かつ説得力のある証拠」が必要であるとされています。
→Presumption of Patent Validity(特許の有効性の推定)とは
もっとも、最近では特許権の有効性の推定を説明せずに、「明確かつ説得力のある証拠」の基準を説明することが前述のモデル特許陪審説示において提案されています。
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