体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Remand(差し戻し) |
意味 |
Remandとは、上位の裁判所が下位の裁判所にケース(事案)を戻すことを言います。
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内容 |
①Remandの意義
(a)米国の法律によれば、民事訴訟において、控訴裁判所が地方裁判所に対してさらなる審理を行わせるためにケースを差し戻します。
同様に最高裁判所もケースを差し戻す権限を有します。
(b)控訴裁判所が行う判決としては、原判決の支持(affirmation)、棄却(reversal)、及び差戻しがあります。
→判決の棄却(reversal)とは
(c)控訴裁判所が事案を差し戻すのは、原判決の結果に基づいて最終的な決定をすることができない場合です。
例えば地方裁判所の判事が手続的な誤りをしている場合や、本来採用するべき証拠を排除したような場合です。
②Remandの内容
(a)知財の分野の例として、地方裁判所が略式判決を出したケースを差し戻した事例を解説します(CAP
EXPORT, LLC v. ZINUS, INC.No. 2017-1540)。
ZINUS,INC.No.(以下ZINUSという)は”ヘッドボード内へ構成要素がフィットする組み合わせ可能なマットレス・サポート”と称する発明を発明者から譲り受けて特許出願を行い、米国特許第8931123号(本件特許という)を保有しています。
CAP EXPORT, LLC(以下CAP
EXPORTという)は、本件特許が無効でありかつ自らがこれを侵害していないことの確認を求める訴訟を提起しました。
ZINUSはCAP EXPORTの提訴に対して特許侵害のカウンタークレームを行いました。 →カウンタークレームとは
地方裁判所は、ZINUSに対して発明の有効性に関するMotion of Summary
Judgement(略式判決の動議)を提出するように命令し、 →Motion of Summary
Judgement(略式判決の動議)とは
するとともにディスカバリーにおける他の全ての手続を停止しました。
そして裁判所は、その動議を受けて審理を行い、争点となった本件特許の2つのクレームを無効としました。
ZINUSは、控訴し、控訴理由として、争点に関して十分に反論する機会を与えられていない、先行技術の公開日が本件特許出願の優先日に先行する(predate)か否かが疑問である、などと論じました。
控訴裁判所は、原判決を取り消し、ケースを地方裁判所に差し戻しました。
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