体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
特許に対する全ての実質的な権利(All Substantial Right to Patent) |
意味 |
特許に対する全ての実質的な権利とは (All Substantial Right
to Patent)とは、特許(又は特許の持分)が移転された時に価値を有する全ての権利を言います。
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内容 |
@全ての実質的権利の意義
(a)特許出願人に対して発明公開の代償として付与される特許は、米国内で特許発明を第三者が製造し、使用し、或いは販売することを禁止する権利を伴うものです。
この権利は、例えば他人に対する排他的ライセンスの許諾により、実質的に移転することができます。
特許権が共有に係る場合には、特許の持分(undivided
interest)に対する権利についても、同様に排他的ライセンスを許諾することができます。
(b)米国特許法第281条には、“Patenteeは特許の侵害に対する民事訴訟による救済(remedy)を受けることができる。”旨が規定されています。
→Patentee(特許権者)とは
排他的ライセンシーに関しては、明文の規定はないため、排他的ライセンサーが侵害訴訟を提起するためには、特許保有者を原告に加えることが必要です。
しかしながら、これでは特許保有者の協力がないと排他的ライセンサーは侵害訴訟を提起することができず、不便である場合があります。
(c)そこで判例上、特許に対する全ての実質的な権利を有する排他的ライセンシーは、特許保有者を訴訟に加えることなく、自らの名において、侵害訴訟を提起することができる、と解釈しています。
International Gamco, Inc. v. Multimedia Games, 504 F.3d 1273
A全ての実質的権利の内容
(a)次のような制限を含む、特許に関する権利は、“全ての実質的な権利”ではありません。
・地理的に特許の発生国に限られること。
・特許の残余期間より短い合意期間に限られること。
・許諾された時点で当該特許でカバーされる全ての権利より狭い通商(trade)又は産業(industry)の範囲に使用が限られること。
→全ての実質的な権利のケーススタディ1
・許諾された時点で当該特許でカバーされるクレームのうちの一部に許諾範囲が限られていること。
(b)譲渡証書(instrument of
transfer)に使用される特定の用語よりも、譲渡の状況全体を考慮して、その権利が“全ての実質的な権利”であるか否かを判断すべきです。
(c)侵害訴訟を開始した時点において排他的ライセンシーが全ての実質的な権利を有しておらず、後に全ての実質的な権利を認める遡及的ライセンスを締結したとしても、原告適格(standing)の欠陥は治癒されず、訴えは却下されると判示されて事例があります。
Alps South, LLC v. Ohio Willow Wood Co.
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