体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
Mutatis mutandisの用例(契約上の) |
意味 |
Mutatis
mutandisとは、ラテン語において、“必要により修正を加えて”と言う意味であり、“適用”(apply)と組み合わせて準用という意味に用いられます。
ここでは、契約上の用例に関して説明します。
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内容 |
@Mutatis mutandisの意義
(a)Mutatis
mutandisはラテン語の成句で“必要な変更を加えて”という意味です。
この言葉は未だ英単語として広まっていないため、文章中でイタリック体として記載されます。
(b)この用語の特性は、2つの局面を対比して、言葉として露わに表現されていないが、相手にとって自明な変更を許容するということです。
この点において、Mutatis mutandisは、類義語である“ceteris
paribus”と異なります。後者は明示した変化以外の相違を許さないという意味に用いられます。 →Ceteris
paribusの用法
AMutatis mutandisの内容
(a)特許ライセンス契約では、基本的な契約を基礎として、当該契約に準ずる内容の別の契約を締結するという場合に、“mutatis
mutandis”という用語が用いられることがあります。
別の契約であるが故に変更することが自明である、と契約の当事者が認識することができる範囲でこの用語が適用されます。
例えば、(ある特許のライセンス契約について規定された)“本条項は、必要により修正を加えてサブライセンス契約に準用する。”というような場合です。
(This Article shall also apply mutatis mutandis to sublicensing
contract.)
サブライセンス(再実施許諾)とは、予め特許権者が付与した権限に基づいて通常実施権者が自己の権利範囲で他人に対して再び通常実施権を許諾することをいいます。
→再実施許諾(サブライセンス)とは
従って、元のライセンスに比べてサブライセンスは、ライセンシーが異なりますが、本ライセンスのライセンシーとサブライセンスのライセンシーが同じであること、ライセンスの対象である特許が同じであることは、説明されなくても一見して分かります。
こうした場合に、“mutatis mutandis”という用語が使用されます。
逆に言えば、一見して分からないことに関しては、mutatis
mutandis”という言葉の利便性に頼らずに、契約書に明記するべきです。
(b)“Mutatis
mutandis”という用語は、例えば当事者間で先に同様の契約が結ばれており、契約上の特定の条項又は義務が新しい契約に移し変えられる場合に用いられます。
こうした場合に、移転を可能とするために、文言上の細かい変更が必要となることが少なくなく、これを可能とするのが“Mutatis
Mutandis”という用語です。
(c)例えば、商業上のリース(例えば特許製品のリース)の更新を例に挙げます。
新しい契約は、先行する契約上の条項と同一の条項を含んでいます。
例えば対象物を特定する特許番号(或いは特許出願番号)などです。
こうした場合に、新しい契約に、“当事者間で○○年○月○日に締結されたリースに関する条項は、リースの対象物の使用範囲を規制するために、必要な修正を加えて導入される(incorporated
mutatis mutandis)。”と記載するというような形で“mutatis mutandi”という用語が適用されます。
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留意点 |
条文上の用法に関しては下記を参照して下さい。 →Mutatis
mutandisの用例(条文上の)
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