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1483 マークマン・クレーム解釈/特許出願 |
体系 |
外国の特許法・特許制度 |
用語 |
マークマン・クレーム解釈(Markman Claim Construction) |
意味 |
マークマン・クレーム解釈(Markman Claim
Construction)とは、裁判の対象となった特許のクレーム中の文言のうちで原告と被告との間に争いがあるものに関して、裁判官が当該文言の意味合い(意義や範囲)を解釈することをいいます。
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内容 |
@マークマン・クレーム解釈の意義
(a)特許制度において、特許の付与に先立って、特許出願人に保護を求める範囲(クレーム)を提出させ、このクレームに基づいて新規性・非自明性(進歩性)などの特許要件を審査を行い、特許要件を満たすときには、当該クレームに対して特許を付与するという手順を踏みます。
そして米国では1996年の最高裁判所の判決(Markman判決)において、当該クレームの解釈(construction)は法律問題であり、裁判官の専権事項であり、陪審が事実問題として判断するべきではないという判断が示されました。
→Markman判決とは
(b)この判決を受けて、地方裁判所は、当事者間のクレームの文言の意味の食い違いを予め把握して的確にクレームを解釈できるようにルールを設定するようになりました。
(c)こうした対応を踏まえて、マークマン判決以後の裁判所のクレームの解釈を、マークマン・クレーム解釈(Markman claim
constraction)ということがあります。
Aマークマン・クレーム解釈の内容
(a)クレーム解釈の手続
地方裁判所に対して特許侵害が提起された場合に、原告と被告は、通常は、裁判地区毎のルールに従い、裁判所が解釈するべきと考えるクレームの用語のリストを交換します。
これにより、当事者間で解釈に争いがある用語を事前に明らかにするためです。 →マークマン・クレーム解釈の手続
(b)クレーム解釈の手法
(イ)地方裁判所では、クレームの用語は、一般的に、“通常の慣用的意味”(Ordinary
and customary meaning)に解釈されます。
これは、フィリップ事件において、クレーム用語は、発明時(現行法では、特許出願の有効な出願日)に当業者が明細書に照らして理解する通常の慣用的な意味に解釈するべきと判示されているからです。
Phillips v. AWH Corp., 415 F.3d 1303
但し、特許出願人(発明者)が明細書において当該用語の定義(通常で慣用的な意味と異なる定義)をしている場合などはこの限りではありません。
(ロ)参考のために、裁判所の判断基準と対比されるべきものとして、米国特許商標庁で採用されている基準を説明します。
この基準は、“Broadest reasonable interpretation”(合理的に最も広い解釈)と言われています。
すなわち、クレーム中の用語は、特許出願の有効出願日に当事者が明細書にも続いて合理的に最も広い解釈をした場合の意味と解されます。
→Broadest reasonable interpretation(合理的に最も広い解釈)とは
この基準(BRI基準)は、特許出願の審査だけではなく、査定系再審査・当事者系レビュー・付与後レビューにも適用されます。
(ハ)特許無効の主張をする場合には、裁判所で“通常の慣用的な意味”でクレームを解釈するよりも、特許商標庁の手続において“合理的に最も広い解釈”の基準でクレームを解釈する方が、特許無効の主張が認められ易いという意見もあります。
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