体系 |
特許申請及びこれに付随する手続 |
用語 |
請求項の独立性 |
意味 |
請求項の独立性とは、特許請求の範囲に記載した複数の請求項に係る発明が相互に独立であることをいいます。
|
内容 |
@請求項の独立性の意義
(a)特許法は、昭和50年の改正により単項制から、記載の形式により区別される必須要件項(他の項目を引用しない独立形式で記載される)及び実施態様項(他の項目を引用する形式で記載される)の2つの概念を使い分ける特殊な多項制へ移行しました。
→単項制とは →多項制とは
(b)しかしながら、これは欧米の特許出願のクレーム制度と乖離していました。そこで昭和62年改正により、記載形式の如何によらず請求項の独立性を担保した改善多項制に移行しました(→改善多項制とは)。
(c)請求項の独立性とは、特許出願の新規性・進歩性の審査においても、特許権の行使においても、それぞれ独立であるということです。
A請求項の独立性の内容
(a)請求項の独立性により、一つの特許出願の各請求項に係る発明が同一の記載となることを妨げません(特許法第36条第5項但書)。例えば成分Aを加えることでコンクリートを強化するというアイディアにより、実質的に同一発明である次の請求項を立てることが可能となり、権利の行使に有利となります。
1.コンクリート強化混和剤A
2.コンクリート強化混和剤Aを用いる強化コンクリート製造方法。
3.コンクリート強化混和剤Aにより強化されたコンクリート。
(b)さらに請求項の独立性により発明を上位概念及び下位概念の区別なく保護することができます。
|
留意点 |
Aに関して、昭和62年の改正前には請求項の独立性が認められないために発明の適正な保護が得られなかった事例として平成44年(行ケ)第94号があります。
特許出願人甲は、まず「高炉セメント使用コンクリート強化用混和剤及び施工法」に係る特許出願をし、その後に手続補正により、特許請求の範囲から施工法を削除するとともに「高炉セメントを強化する強化コンクリート製品の製造法」に係る分割出願をしたところ、元の特許出願と分割出願とが実質的に同一とされたケースです。
|