パテントに関する専門用語
  

 No: 219   

進歩性(特許出願の要件)/時期

 
体系 実体法
用語

進歩性判断の時期的基準

意味  進歩性判断の時期的基準は、新規性と同様に特許出願の「時」です。

内容 @我が国の特許法は、発明の新規性・進歩性の判断時を特許出願の時としています。理論的には、発明時や公開時を基準とすることも考えられますが、発明時を基準とすると、特許出願を急ぐ必要がないので発明の秘蔵化を招くおそれがあると言われています。また発明者が発明を公開した時を基準とするとすれば、公開時を認定するのに手間がかかります。

A進歩性の時期的基準は、特許出願の「時」であって、特許出願の「日」ではありません。先願主義や特許の利用関係の規定(特許法第72条)とは違っています。従って同じ日の午前中に特許出願を行い、午後に発明を公開しても、新規性・進歩性は喪失しません。
刊行物の頒布時期の推定(新規性・進歩性)

B特許出願の時とは、願書を特許庁に提出したときを言います。

C分割出願及び変更出願の場合には、原出願の時が基準となります。また国内優先権主張出願の場合には、その主張の基礎となった先の特許出願の時が基準となります。

Dもっとも特許出願後に頒布された刊行物を進歩性の証拠とすることは、必ずしも違法ではありません。証拠の証明力の問題だからです。
進歩性の時期基準のケーススタディ1

留意点  新規性・進歩性の判断時が特許出願の時であるため、発明が完成されているか否かも出願時で判断されます。例えば発明の成立性を裏付けるために実験データが必要である場合に、特許出願後に発明の実験を行い、特許出願と別に提出したり、意見書で主張しても取り合って貰えません。

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