体系 |
権利内容 |
用語 |
選択発明と利用発明 |
意味 |
先行発明(先の特許出願に係る発明)に対して、一部の発明特定事項を下位概念化した選択発明について特許を受けた場合には、利用発明となる可能性があります。
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内容 |
@選択発明は、先行発明の一部又は全部の発明特定事項を下位概念化したものであり、これを特許出願した場合には、必ずしもダブルパテントとならず、進歩性などを具備して特許をなり得ます。判例は、特許出願が先行発明の明細書に全然記載されておらず、独立の技術的課題を解決する別個の発明と解釈するべきとき、両者の間に特許法第72条にいう利用関係が成立するとしても、同一の発明に対する二重特許のおそれがあるものとはいえないという立場をとっています。→昭和34年(行ナ)第13号(温血動物に対する毒性の少ない殺虫剤事件)
Aもっとも選択発明が先行発明に対する利用発明となるかどうかは一義的に決定できる問題ではなく、個々のケース毎に判断するべきです。
B概念的には、先行発明と選択発明とを発明特定事項で比較すると、選択発明は先行発明に対して利用関係にあります。しかし、理論上では、発明の保護は発明者が認識した限度に留まるべきというという考え方もあります。
C化学のように物の構造(組成式など)から効果が予測しにくい分野では、ある程度の広さの発明特定事項の範囲で発明が成立することを示すために、特許出願の明細書にその広さをサポートするのに十分な数の実施例(実験例)を記載します。しかし、実験例同士の合間に発明が成立しない部分があり、その部分に別個の発明(先行発明の効果を奏しない異質の発明)が成り立つという可能性が考えられます。例えば先行発明の効果が鎮痛剤的効果であるのに、選択発明は鎮痛剤的効果がなく、染色性があるというような場合であり、こうした場合に学説では利用発明と解釈すべきでないとしています。
D先行発明の効果が維持され、さらに顕著な効果が発揮される場合、それが同質の効果であるか異質の効果であるかを問わず、利用発明となる可能性が高いと考えられます。
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