体系 |
実体法 |
用語 |
TSMテスト |
意味 |
TSM テストとは、米国特許出願の進歩性判断の手法であって、先行技術の組み合わせが自明であるかどうかを、教示(Teaching)と示唆(Suggestion)と動機(Motivation)とに基づいて判断するという考え方です。
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内容 |
@米国特許出願の進歩性判断の実務の歴史では、まず1966年のグラハム判決により進歩性の基本的な考え方が確立し、次に進歩性の判断の画一性及び一貫性を担保する趣旨から、TSMテストが定着しました。
A一般に、公知の技術要素の組み合わせは自明であると考えられ勝ちですが、何でも組み合わせることが許されるわけではありません。判例(202.F.3d.1340)によると、複数の先行技術を組み合わせるためには先行技術中に示唆や教示があるかどうかを考慮する必要があります。一般的に言って、重要なことは、先行技術を組み合わせることの願望、或いは組み合わせたものの自明な性質を示す何かが存在するか否かです。
BTSMテストは、ハインとサイト(後知恵)を回避することに寄与します(In re
Kahn)。殆ど全ての特許出願の発明は何等かの公知の要素の組み合わせで構成されています。TSMテストにより、審査官は、公知の要素を組み合わせる教示や示唆の根拠を示さなければならないとされていました。
Cしかしながら、当業者は、教示や動機付けや示唆がなくても、一定のケースで経験的に複数の技術を組み合わせることで問題解決が可能であることを知っています。2007年のKSR判決以後の米国特許出願の進歩性の実務(2007年のガイドライン)では、TSMテスト以外に次の点を判断しなければならないとしています。
(イ)従来の要素を公知の方法で組み合わせ、予測可能な効果を得ていること。
(ロ)公知の要素によって他の要素を単純に置き換えて予測可能な結果を得ていること。
(ハ)公知の技術を用いて類似の装置、方法、製品を同じやり方で改善していること。
(ニ)公知の技術を、改良できる状態の公知の装置、方法、製品に適用して予測可能な結果を得ていること。
(ホ)特定されている予測可能な限られた数の解決策の中から、成功する見込みがあって解決策を選択していること(Obvious to
Try)。
(ヘ)ある分野での公知の成果が、設計動機や市場からの要請に基づいて、同一の又は異なる分野に、当業者にとって予測可能な形に変更されていること。
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留意点 |
日本の進歩性審査基準では、動機付けとなるものの典型例として、技術分野の共通性、課題の共通性、作用・機能の共通性の他に、引用発明の内容中の示唆を挙げています。
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