パテントに関する専門用語
  

 No: 311   

進歩性審査基準(特許出願の要件)/効果・意見書 

体系 実体法
用語

意見書で主張する有利な効果

意味  特許出願人が意見書で主張する、引用発明と比較した有利な効果は、特許出願の請求項に係る発明の進歩性の判断において参酌されます。

内容 ①特許出願の手続において、明細書は、発明の解説書であり、発明の技術的な意義が理解できるように発明の課題や課題解決手段、さらに効果を記載しなければなりません。発明の課題解決手段(物の発明にあっては物の構成)だけを詳しく書いても、それがどういう効果を発揮し、それにより、どういう課題を解決するのかということが判らなければ、第三者が発明を利用することができず、特許の活用が図れないからです。

②従って、まず明細書に発明の効果をしっかりと記載することが特許出願人にとって極めて重要です。具体的には次の通りです。

(イ)単に漫然と効果を記載するのではなく、先行発明が有しない、特許出願に係る発明に固有の効果を記載する。

(ロ)発明の構成(課題解決手段)、作用(構成要素の働き)、そして効果(作用によって生ずる利益)を、相互の関係性が判るように記載する。

(ハ)実施例のみに記載した発明の効果も将来クレームに上げる可能性があるときには実施例の欄中に記載する。

(ニ)特定の構成にしたことの理由という形で効果を記載することも有効である。

③しかしながら、当業者が技術常識から容易に推察することができることまで明細書に記載すると、明細書の記載が冗長となり、その結果として、重要な事柄の説明が薄くなるおそれがあります。

④そこで進歩性審査基準では、明細書に引用発明と比較した有利な効果が記載されている場合だけでなく、明細書又は図面の記載から当業者が引用発明と比較した有利な効果を推認できる場合には、特許出願人が意見書等で主張した効果を参酌するとしています。

⑤その効果を実験結果で立証することも、効果を推認できる場合に限られます。

⑥特許出願人が明細書において特定の構成要件を採用したことの効果や理由が記載されておらず、かつ効果等を当業者が推認できない場合には、例えば当該構成要件が単なる設計的事項として扱われるなど、十分に評価されない可能性があります(平成9年(行ケ)198号)。

 従って、特許出願をする前に請求項に記載した発明特定事項がどういう作用・機能を有し、どのように発明が解決しようとする課題に結び付くのかを明細書に十分に記載することが重要です。→数値範囲の臨界的意義など

留意点

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