パテントに関する専門用語
  

 No: 345   

進歩性審査基準(特許出願の要件)/自明な課題

 
体系 実体法
用語

自明な課題

意味  自明な課題とは、特許出願に係る発明の対象に限らず、あらゆる装置や方法、或いは少なくとも同種の装置又は方法に内在する一般的な課題をいいます。

内容 ①課題は発明の出発点であり、それ故に、課題が共通する発明同士は技術的な観点から類似しており、課題が共通しない発明同士は、類似していないと考えられます。しかしながら、発明は、明細書に記載された固有の課題の他、技術者ならば当然に考慮するであろう、自明の課題を有している場合があります。そこで進歩性審査基準は、引用発明が、特許出願に係る発明と共通する課題を意識したものと言えない場合でも、その課題が自明な課題であるかどうかについて、技術水準に基づく検討を行うとしています。

②あらゆる装置や方法に内在する自明な課題の具体例を裁判例から紹介します。

(ア)本願発明の「費用及び空間の節約」という課題は、発明対象(混合機)に限らずあらゆる装置について言える一般的な課題であるとした事例。平成4年(行ケ)142号

(イ)「製造された製品中に不純物が極力混入しないようにすること」は、発明の対象(オゾン水製造方法)に限らず、あらゆる製品の製造において当然の課題であると判断された事例。平成14年(行ケ)第86号。

③同種の装置や方法に内在する自明な課題の具体例を裁判例から紹介します。

(ア)ゴルフシャフトにおいて「軽量であること」は、当業者において当然予想できる課題であるとした事例。平成7(行ケ)152号

(イ)圧縮ガスを用いて内容物を噴射するエアゾール装置において「内容物を適正に噴射させて内容物の付着を良好にすることや圧縮ガスの漏れを防止すること」は一般的課題であるとされた事例。平成 21年 (行ケ) 10319号

留意点 →nature of the problem


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