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352 進歩性審査基準(特許出願の要件)/設計的事項と技術的意味 |
体系 |
実体法 |
用語 |
設計的事項と技術的意味との関係 |
意味 |
特許出願に係る発明の進歩性判断において、設計的事項であるかどうかが発明特定事項の技術的意味(発明特定事項とした理由)の明確性によって左右される場合があります。
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内容 |
①進歩性審査基準には、“設計的事項は当業者の通常の創作能力である”旨が記載されています。そして審査官・審判官・裁判官は、請求項中の発明特定事項が設計的事項であるか否かを、明細書の記載事項及び技術常識により判断します。そのときに困るのが、発明特定事項の技術的意味が解らない場合です。技術的な意味とは、用語の意味内容という意味と、技術的事項を発明特定事項とした理由という意味とがありますが、ここでは後者の意味です。発明特定事項とした理由が不明確でも、意味内容が明確であれば、発明の明確性を損なうことはありません。その代わりに、発明特定事項とした理由が不明確であることは進歩性の判断において不利に働く可能性があります。
②例えば数値範囲を限定した場合に、限定をしたことの効果や臨界的意義を記載していないときには、単なる数値範囲の最適化と判断され、当業者の通常の創作能力の発揮と判断されます。
平9年(行ケ)第86号では、緊急車運行制御システムの発明に関して、0.8より1.0μmの波長範囲とする赤外線を信号送受信手段として用いることを発明特定事項としていましたが、緊急車両において上記波長範囲を採用することにどういう意味があるのかを説明していませんでした。
③また平9年(行ケ)第198号では、無線呼出用受信機の発明に関して、当該受信機の筐体の上板と下板とを接続することで共鳴周波数が変わる旨を主張しましたが、裁判所は、そうした効果は明細書に記載されていないので、明細書に基づかない不適当な主張であると判断しました。
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留意点 |
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