内容 |
①周辺限定主義は、中心限定主義と対立する概念です。
②また周辺限定主義は、クレームの文言通りの範囲を超える保護を認める、いわゆる均等論と対立する概念です。
③換言すると、現在の米国特許法は、性質の異なる周辺限定主義と均等論とを併存させることで、公衆の利益と発明者の保護とを図っているともいえます。
④例えば周辺限定主義の下での均等論は、発明の要素を均等物に置き換えるという範囲に留まり(→オール・エレメント・アプローチ)、発明全体としての均等をいうもの(As a whole approach)は認められません。これは均等論を制限しようという考え方の現れです。
⑤米国では、中心限定主義の弊害に鑑みて、1870年の改正でクレームの記載要件が修正され、特許出願人は発明の範囲を特に指摘し明確にクレームしなければならないと定められました。これにより、基本的に周辺限定主義にシフトしたものと考えられます。しかしながら、均等論を認めているので完全な周辺限定主義ではなく、折衷的な(Mongrel)立場をとっています。今日の大抵の国(日本を含む)も同様です。
⑥周辺限定主義によれば、基本的に、発明の保護範囲は特許出願人がクレームにおいて求めた限度に留まります。これは、特許出願人が発明を構成する事項を吟味し、よいクレームを書くことの動機付けとなります。
⑦また、これにより公衆にとっても特許明細書の権利書としての信頼度が増すことになり、安心して事業を行うことができるようになります。
⑧文言通りの侵害以外に特許権侵害が成立する場合として、例外的に均等論の適用がありますが、均等論の適用を制限するものとして禁反言の法理があります。
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