パテントに関する専門用語
  

 No: 378   

進歩性審査基準(特許出願の要件)/発明の作用

 
体系 実体法
用語

発明特定事項の機能

意味  発明特定事項の機能とは、発明全体を構成する個々の事項が果たす役割をいい、特許出願の請求項に記載された事項同志の関係を理解する上で重要な事柄です。
発明の作用


内容 @“機能”という言葉は、ある物が本来備えている働きという意味と、ある物を構成する個々の部分が果たしている固有の役割という意味とがあり、発明特定事項の機能というときには、後者の意味に用いられることが多いといえます。

A例えば次のような発明をしたとします。

{発明の目的}

 商品に商品名や通常の価格などの“通常データ”を記載したラベルと、「値引き品」という文字や値引き価格などの臨時データを記載したラベルとを二度貼りする手間を省略する。

{発明の構成}

ラベルに印字するべきデータを通常データと臨時データとに分類させて記憶手段に記憶させ、印字データ中に臨時データが含まれないときには通常ラベル印字部で、また臨時データが含まれるときには臨時ラベル印字部で印刷するラベルプリンタ。

Bこの場合には、“通常データ”は記憶手段に読み取られ、臨時データと区別されるという働き、すなわち機能を有しており、その機能を以て引用発明との一致点・相違点を認定されるということになります。引用文献中の発明特定事項が上記機能において一致する限り、たとえ商品の価格などでなくても、発明特定事項の一致点と認定される可能性があります。

C判例では、「発明の進歩性の判断に際し,当該発明の発明特定事項と,引用発明の発明を特定するための事項とを対比するに当たっては,当該発明の発明特定事項の機能,作用,性質等に着目し,引用発明のそれと共通する機能,作用,性質等を備える発明特定事項と対比することにより,両発明の一致点,相違点を認定することは,通常行われている手法である。」と述べています(平18(行ケ)10245号)

Dまた進歩性審査基準には、特許出願の請求項に発明特定事項として機能や特性を記載した場合の取り扱いについて次のように述べています。

「請求項中に機能・特性等を用いて物を特定しようとする記載がある場合には、 異なる意味内容と解すべき場合(※)を除き、原則として、その記載は、そのような機能・特性等を有するすべての物を意味していると解釈する。例えば、「熱を遮断する層を備えた壁材」は「断熱という作用ないしは機能を有する層」という「物」を備えた壁材と解する。

※…発明特定事項の意味内容が明細書及び図面において定義又は説明されている場合」


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