内容 |
①用途発明には物の発明と方法の発明とがありますが、後者の場合には、請求項に用途が記載されていても、そうした用途に用いられる方法と考えればよいので、特に問題はありません。
②これに対して物の発明の請求項に用途が記載されている場合には、その用途の意味合いが問題となります。むやみに用途を限定した物の発明を認めると、技術的価値のない発明に特許権が乱立することになります。例えば、何の変哲もない糸を、“裁縫をするための糸”や“刺繍をするための糸”のように形式的に用途限定して表現しても、技術内容が同じであれば両者を区別する実益がないからです。
③請求項に記載された用途の意味として、その用途に適した形態を有するものと解釈するべき場合があります。→用途限定と用途発明
例 クレーン用フックはクレーンの用途に適した大きさ・強さを有する物と解釈するべきであるので、釣り用フックとは異なる(新規性・進歩性審査基準)。
④しかしながら、用途の発見自体が新しく、その用途に用いることで、社会に有用な技術が成立する可能性があるます。そこで審査基準では、“或る物の未知の属性を発見し、この属性により、当該物が新たな用途への使用に適することを見い出すことに基づく発明”を用途発明としています。この場合には、用途自体が発明の構成要件であると考えられます。
⑤発明対象が医薬品・化粧品などである場合には、例えば包装容器に付されたラベルに記載された用途などから技術的範囲に属するか否かを判断する。
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