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278 進歩性/特許出願の要件(外国)/グラハムテスト |
体系 |
実体法 |
用語 |
グラハムテスト |
意味 |
グラハムテストは、米国特許出願における進歩性の判断のための基本的なテストであり、1966年のグラハム判決で示されたものです。
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内容 |
@米国特許出願の実務では判例が重要な位置を占めます。例えば1851年のホッチキス事件ではいわゆる“機能的なアプローチ”(functional approach)が示され、進歩性の判断に大きな影響を与えました。こうした先例を尊重しつつ、進歩性の判断の「画一性及び明確性」を担保するために、1966年のグラハム判決では、さまざま進歩性の判断手法をまとめてグラハムテスト(グラハム分析ともいう)を確立させました。
Aグラハムテストは、4つの要素(グラハムファクター)について行われます。
B第1のグラハムファクターは、先行技術の範囲と内容とを決定することです。
特許出願(又は特許)のクレームの進歩性判断の材料が、別の特許出願に係る先行技術である場合にはあまり問題にならないのですが、主要な先行技術が公用の技術であるとき特に、時の経過とともに技術改良が施されているときには、先行技術の範囲と内容とを決定することは重要な作業となります。
→broadest reasonable interpretationとは
C第2のグラハムファクターは、先行技術と対象となるクレームとの差異を明確にすることです。
特許出願のクレームが先行技術(主引用例)と相違する点を見極め、相異点を開示する副引用例があるかどうかを調べます。一般的に、従来の構成要素をそれぞれの作用の変化なしに単に結合するような組み合わせによる特許は、基本的に認められるべきではありません。その技術分野において既に知られている技術的資源を縮小することになるからです。その反面、単に発明を構成する要素の全部が関連技術分野で知られているというだけで発明するのが容易であるとすることは、ハインドサイト(後知恵)による進歩性の評価に陥る可能性があります。ハインドサイトを排除するための知恵が主たる先行技術と特許出願のクレームとを比較するという手順です。
D第3のグラハムファクターは、当業者の技術水準を確定することです。
グラハム判決においては、クレームの対象である農業機械を発明したのが農民であったため、当業者(a person having ordinary skill in the art)の技術水準が問題となりました。 →当事者のレベルの確定
E第1のグラハムファクターは、2次的考察(Secondary Consideration)の証拠を考慮することです。
例えば長年要望されていた未解決の課題や商業的成功などです。
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留意点 |
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