パテントに関する専門用語
  

 No:  451   

特許出願の種類/国内優先権(態様)

 
体系 特許出願の種類
用語

国内優先権の利用態様

意味  国内優先権は、我国への先の特許出願(又は実用新案登録出願)に基づいて我国への後の特許出願(又は実用新案登録出願)に主張したときに、先の特許出願等の内容に関して先の特許出願等の時にしたものと同等の利益を与えるものですが、2つの特許出願等の内容に応じて次の関係があります。


内容 ①国内優先権は、技術開発の成果を漏れのない形で後の特許出願等に盛り込むことを趣旨とするものですが、技術開発は、基本発明に関連して周辺技術に関する別の発明を行ったり、或いは、先の発明を上位概念化してより包括的な形にしたり、或いは先の発明の実施例の豊富化を目指したりと、さまざまな形で行われるものですので、国内優先権の利用にも幾つかのパターンがあります。

②単一性充足型

 下図に示すように、発明Aとは別個の発明Bを追加する態様です。しかしながら、両発明は出願の単一性の要件を充足する必要があります。

 例えば発明Aが物の発明、発明Bが物の製造方法の発明であったり、例えば物の発明A(要件イ+ロ+ハ)と物の発明(要件イ+ロ+ニ)との共通事項(イ+ロ)に先行技術に対する特別の貢献(STF)を有する場合です。→特別な技術的特徴とは

 発明Aについては先の特許出願のときを、発明Bについては後の特許出願のときを以て新規性・進歩性を判断されます。

③上位概念注出型

 例えば別個になされた発明A、発明Bを基礎として、上位概念の発明Cを着想する場合があります。

 説明の便宜上から仮想的な例を挙げれば、発明Aは、海水から塩分を抽出する装置の発明であり、発明Bは、海水から真水を抽出する装置の発明であり、発明Cは海水を塩分と真水とに分離する装置の発明であるような場合です。

 この例の場合には、普通であれば、最初の発明Aのときに発明B及び発明Cに想起することが容易なので、わざわざ国内優先権を利用する必要は少ないのですが、発明内容次第ではそうした上位概念の存在を最初の発明の段階で想起できないことがあります。

基本的には、発明Aについては第1の特許出願のときを、発明Bについては第2の特許出願のときを、発明Cについては第3の特許出願のときを以て新規性・進歩性を判断されます。

④実施例補充型

 最初の発明Aについて、この発明Aの範囲を裏付けるに足りる実施例a1を明細書に記載して先の特許出願をし、次に発明Aの範囲に属する別の実施例a2を補充する場合です。

 発明Aについて第1の特許出願のときを以て新規性・進歩性を判断されます。

 但し、発明の範囲の全部を実施例a1で裏付けることができず、その裏付けることができない部分に関して、実施例a2をした場合には、新規性・進歩性の判断時が繰り下がる可能性があるので、注意が必要です。
国内優先権と実施例の補充


留意点 (参考図61)


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