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509 特許出願の要件/拡大された先願の地位・公開条件 |
体系 |
実体法 |
用語 |
拡大された先願の地位の公開条件 |
意味 |
拡大された先願の地位とは、先願である特許出願・実用新案登録出願の最初の明細書・特許請求の範囲・図面(「明細書等」という)の全体について所定の公開が行われたことを条件として、当該公開の前にされた後の特許出願等を排除する地位です(29条の2)。
以下、その公開条件について説明します。
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内容 |
@拡大された先願の地位の公開条件の趣旨
“拡大された先願の地位”の規定は出願審査請求の制度の導入に伴って導入されました。
この制度の下では、特許出願の審査が出願審査の順に行われることが想定され、先の特許出願等が未審査の状態で後願を審査し、特許査定した後に、先の特許出願の明細書・請求の範囲が補正され、後願特許に無効理由が生ずるのは困るので、先願の地位を先の特許出願の明細書等全体に認める必要が生じたのです。
しかし請求の範囲の記載事項から拡大して先願の地位を認めるには、ダブルパテントの排除以外にも合理的な理由が必要です。その理由を国は次のように説明しました。
“先の特許出願等の明細書に記載された事項は、後願の出願時には未公開であっても、その後の先願の公開により当該事項は公知になるのだから、後願は何ら新たな技術を公開するものでないからである。”
こうした趣旨より、拡大された先願の地位は、先願の公開が条件となっているのです。具体的に拡大された先願の地位の条件となる公開を解説します。
A出願公開(特許法第64条)
(イ)少なくとも特許出願の日から1年6月経過後に行われる出願公開により拡大された先願の地位が発生するのがもっとも一般的です。
(ロ)出願公開は、特許出願の審査の進行状況と無関係に、少なくとも所定期間が経過すれば特許出願の内容を公開するものです。発明の早期公開のためです。
(ハ)なお、特許出願の日から1年6月を経過していなくても、特許出願人の請求があったときには、出願公開が行われ(特許法第64条の2)、この場合にも拡大された先願の地位が発生します。
B特許掲載公報/出願公告
例えば特許出願人が早期審査の事情説明書を提出することにより特許出願の実体審査の順番が繰り上げられ、出願公開の時期を待たずに特許査定が出されます。この後に特許明細書の内容を掲載する公報(特許掲載公報)が発行されたときには、拡大された先願の地位が発生します。
なお、平成6年の改正前には、出願公告の制度が採用されており、上記特許掲載公報に代えて出願公告公報の発行により拡大された先願の地位が発生することになっていました。
C国際公開
国際特許出願の場合には、国際段階で国際事務局が行う国際公開が拡大された先願の地位の条件となります(特許法第184条の13)。
外国語特許出願に関しては、国内段階への移行後に国内公表が行われますが、これは条件となりません。
拡大された先願の地位は、
“国際出願日における国際出願の明細書・請求の範囲・図面”(外国語特許出願の場合には出願の原文)について認められ、翻訳文の公表がなくても上述の地位を認めることに支障はないからです。
→拡大された先願の地位が認められる書類の範囲
D実用新案掲載公報
実用新案登録出願の場合には、実用新案掲載公報が拡大された先願の地位の公開の条件となります。
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