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 パテントに関する専門用語
  

 No:  523   

特許出願/性質

 
体系 特許申請及びこれに付随する手続
用語

特許出願の性質

意義  特許出願は、発明をすることで特許を受ける権利を取得した者又は当該権利を承継した者が国に対して発明の保護を請求する行為です。ここでは特許出願の性質を説明します。


内容 @知的財産の分野では、特許出願・実用新案登録出願・意匠登録出願・商標出願などの言葉がありますが、この「○○出願」という言葉は、権利の創設に結びついた特別の言葉であり、妄りに使われるものではありません。

 以下、特許出願という用語の意味合いや性質を解説します。

A特許出願は、権利の創設的なものである点で、“○○の請求”とは相違します。

 例えば訂正審判の請求は、権利内容の変動を伴うものですが、新たに権利を創設するものではありません。訂正審決の確定により、最初から訂正後の権利であったものと見做されるだけに過ぎません。

 “権利の創設的”というのは、権利の創設に準ずるものを含むという趣旨です。例えば “出願”という言葉は、“特許出願”の他には特許権の存続期間の“延長登録出願”があります。しかし、特許権の存続期間の延長は、特許出願に対して付与された独占排他権のうちで実施できなかった部分だけがさらに継続するものであり、(後述の商標権の存続期間の延長の如き)単なる延長ではありません。

B特許出願は、権利として行うものである点で、昔の英国のmonopolyの特許の請願とは相違します。

 すなわち、今日の制度の下での特許出願は、上述の英国のmonopolyの如く国の裁量で与えるもの(→恩恵主義)ではなく、発明者自身の権利に基づいて保護を要求するもの(→権利主義)です。

C特許出願は、創作活動の結果として生ずる権利に基づく点で、輸入特許等の請願と異なります。

 上述のmonopolyの特許制度では、国を富ませる貢献を為した者に恩恵を与えるという趣旨から、(a)外国からの技術を導入(輸入)した者に与えられる輸入特許、(b)産業を興したものに与えられる特許、(c)発明をした者に与えられる特許などがありました。
輸入特許(Importation patent)とは

 今日の特許出願は(c)のタイプの特許の請願に由来する基づくものです。我国でも明治時代の専売条例(現在の特許制度の前身)では輸入特許を認めていたと言われていますが、その後廃止されました。

D特許出願は、実体審査(特に創作物としての新規性・進歩性の審査)を経て処分が出される点で単なる申請とは異なります。
 →特許出願の処分

(a)かつて商標法では実体審査を伴う商標権の存続期間の更新登録出願制度を採用していましたが、商標法条約への批准に伴い、更新時に実体的要件(商標の使用の有無や公益的不登録事由など)を審査しない更新申請制度に移行しました(※1)。

(b)新規性・進歩性などの特許出願の要件は、産業の発達に重要な意味を有しており、これれを具備しない発明を保護対象とすれば、特許権の乱立により産業活動を著しく阻害することになるため、きちんと実体審査を行った上で権利を付与するようにしています。

E特許出願は、要式行為である点で、不要式行為、例えば代理契約などと異なります。

 「様式行為」とは、“意思表示が一定の方式に従って行われないと効力が生じない法律行為”をいいます。特許出願の願書は、一定の様式に従って記載しなければ法律行為が生じません。意思表示が不明確であると不都合を生じ易いからです。

これに対して、代理人の委任状を作成するのは不様式行為ですから、内容などが分かれば様式は問題になりません。


留意点  


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