内容 |
@インターフェイス標準の意義
(a)オープン&クローズ戦略の要諦は、他人に対してクローズする(実施させない)コア技術と、積極的に他人への実施を開放(オープン)する周辺技術とを戦略的に区別することです。他人の実施させない方法としては、特許出願により独占排他権を取得することが一般的ですが、特許権の存続期間は有限であり、保護対象である特許発明は、何れは公衆の自由に委ねられます。
(b)インターネット標準は、自社製品と接続された部分(インターフェイス)を対象とした技術標準です。インターネット部分が対象だからといって、当該部分がとりわけ格別の技術的価値(当該部分単独で業界の標準技術となる程度の優位性)を有する必要はありません。
(c)インターフェイス標準は、いわば“製品の仕様や性能ではなく、ある製品と他の製品との接続部分の互換性を確保する標準”です。技術的に重要な部分はいうまでもなく製品本体の“仕様や性能”自体にあります。しかしながら、製品本体に関しては秘密にしておき、インターフェイス部分に関して特許出願をして権利化することで、製品本体の仕様や性能を使用したいのであれば、そのインターフェイス部分を使用せざるを得ないようにするのです。
(d)インターフェイス標準は、製品を複数の部分にモジュール化しておき、そのモジュールの一つであるインターフェイス部分を技術標準化することが行われます。
(e)こうした戦略は、少なくとも製品本体の外部に技術的特徴が現れる場合には成立しません。特許出願をしていなければ直ちに第三者が装置本体部分を真似するからです。装置本体の内部構造に技術的特徴がある場合にもライバル会社が装置本体を分解・分析して技術内容を解明できる場合には、こうした戦略は取りにくいと考えられます。
(f)インターフェイス標準と企業のオープン&クローズ戦略とは上述のように密接な関連があります。技術が標準化によりオープンした技術を他者が採用し易い環境を整えることが上記戦術において重要だからです。
Aインターフェイス標準の具体例、
例えばCPUを実装した回路基板を製造する製造業者を呼び込む一方で、CPUの内部回路は公開しないといったオープン&クローズ戦略がとられます。
Bインターフェイス標準と特許の活用及び取得(特許出願)との係わり
(a)上述のオープン&クローズ戦略の例では、オープンの部分にあるインターフェイス技術を特許出願して権利化するということで、同業他社を排除できます。
(b)インターフェイス標準の特色は、事業者の技術的な強みであるコア技術と別の部分(インターフェイス部分)を標準化し、権利化することです。従って当該権利が存続期間の満了により終了しても、インターフェイス部分に関連する全く別の技術を特許出願して権利化し、
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