内容 |
①標準化団体の意義
(a)技術標準の種類には、デジュール標準・フォーラム標準・デファクト標準があります。
(b)このうちでデファクト標準はある業種の市場において圧倒的なシェアを占める企業の技術がその業界の共通の仕様(技術標準)となる事例であり、標準化を主導する団体は存在しないのが普通です。
(c)これに対してデジュール標準は公的機関が主導して策定されるもの、フォーラム標準は民間団体が主導して(当該団体が開催するフォーラムに参加したメンバーの合意により)策定されるものであり、それぞれが標準化団体となりますが、ここでは主にフォーラム標準に関して説明します。
②標準化団体の内容
(a)標準化団体の主要な役割は、技術標準の策定・改正・普及を図ることです。
(b)特にフォーラム標準の場合には、標準化団体は、特許の活用(メンバーである特許出願人/権利者の利益)と技術の普及との調整を図らなければなりません。
例えば実施料率を例にとると、メンバーが技術標準の実施者に対して請求する実施料の比率が高すぎると、技術の普及が進まず、また実施料の比率が低すぎると、メンバーが技術開発投資を回収できないという問題と生じます。最大利益を確保するために特許の活用と技術の普及のバランスを図ることが必要です。
(c)標準を実施しようとする者が標準必須特許を有する複数の権利者に個々に実施許諾メンバーに行うと累積実施料の高騰(ロイヤリティスタッキング)を生ずるために、これを回避する手段としてパテントプールがあります。標準化団体がパテントプールの構築に積極的に関わる場合もあります。
③標準化団体と特許出願業務との関係
技術標準の策定の途中では、標準化団体は、参加者に対して標準化の対象となり得る技術に関する特許出願或いは特許に関する情報を提供させ、該当する特許出願等があるときには、合理的な範囲内での実施許諾の条件を予め宣誓することをメンバーに要求し、それができないときには、その特許出願或いは特許を回避する形で技術標準を策定します。
もっともメンバーからその特許出願等に関する情報が正しく提供されない場合には、後日ホールドアップ問題という厄介事が生ずる可能性があります。
→ホールドアップ問題とは
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