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693
複数の発明の効果の記載の是非/特許出願の査定後/進歩性 |
体系 |
権利内容 |
用語 |
複数の発明の効果の記載の功罪 |
意味 |
ここでは特許出願人が一つの請求項の発明に関して複数の効果を明細書の“発明の効果”の欄に記載することの功罪について説明します。
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内容 |
@複数の発明の効果を記載することの意味
(a)総じて発明の効果の記載は、権利後は特許発明の技術的意義を限定する方向に解釈される可能性があるため(→発明の効果の考慮(特許発明の技術的範囲))、特許出願人は余分な効果を書き過ぎないようにすることがよいと考えられます。
(b)特許出願の一つの請求項から複数の効果を導くことができると考えられる場合であっても、一つの効果だけで当該請求項の発明の新規性・進歩性を確立することができないかを検討することが必要です。
(c)複数の発明の効果を記載した場合には、下記の通り、特許侵害訴訟の相手方から攻め込まれる可能性があるからです。
A複数の発明の効果を記載することの問題点
(a)主たる効果+従たる効果を記載する場合。
例えば主たる効果として技術的なメリットを述べるとともに、従たる効果として、見た目が美しい、体裁がよいなどの効果を述べる場合です。後日、係争物は副次的な効果を奏しないため、権利範囲に属しないと相手方が主張する可能性があるからです。
こうした副次的な効果は、それが真に技術的な困難性に根差している場合を除いて、新規性・進歩性の確立に重要な意味を持たないことが多いといえます。こうした副次的な効果は、実施例の効果として発明の詳細な説明に記載するに留め、発明の効果の欄には書かないことが奨励されます。
→複数の発明の効果の記載のケーススタディ
(b)異なる発明特定事項に基づく複数の発明の効果を記載する場合
例えば一つの請求項の発明が要素A+B+Cからなる場合に、要素Bから効果Xが、要素Cから効果Yが発揮されるとします。
効果Xのみを発明の効果の欄に記載されていた場合には、要素Cが本質的要件ではないとして均等論の適用を受けることができたところ、特許出願人が効果X、Yを発明の効果の欄に記載したために、均等論の適用の範囲を狭められる可能性があります。
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留意点 |
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